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2023年「労働保険年度更新」は、昨年と集計方法が変わってます!!

人事部、総務部、社会保険労務士事務所で給与計算等に携わる方にとって、6月から7月にかけては繁忙期になるのではないでしょうか。
忙しくなるのは、この時期に「労働保険年度更新」と「算定基礎届」というダブル業務が通常の業務に加わってくるからです。

労働保険年度更新手続は、期間が6月1日から7月10日と厳格に決まっており、期間内に労働保険料の納付までを行うことが求められる手続きです。
さらに今年の労働保険年度更新は、例年と集計方法が異なっているので注意が必要です。

ここが変わりました!!
令和4年度確定保険料は、保険料算定基礎額と保険料額を労災保険分と雇用保険分ごとに、下記のように2回に分けて算出することとなっています。
前期:令和4年4月1日~同年9月30日
後期:令和4年10月1日~令和5年3月31日

「保険料算定基礎額」とは、簡単にいえば一年度の賃金総額のことです。
つまり、今年は前期ごと、後期ごとに賃金総額を合計していくということになります。

前期と後期に分けるのはなぜでしょうか?
令和4年度は、雇用保険率が年度途中で変更されたからです。

雇用保険料率の変更に伴い、今年の労働保険年度更新は「申告書」と「確定保険料一般拠出金算定基礎賃金集計表」の様式が変更されました。

なぜ前期ごと、後期ごとに賃金総額を別々に集計するのでしょうか。
労働保険料は原則として「賃金総額」×「保険料率」により計算します。
そのため、雇用保険料率が異なる期間ごとに分けて計算する必要があるからです。

今年の申告書はどうなってるのか? 
令和5年提出用の申告書見本を用意しました。厚生労働省ホームページの「令和5年度事業主の皆様へ(継続事業用)労働保険年度更新申告書の書き方」に申告書の見本が掲載されています。

一見昨年と同じでは?と思うのですが、一番下の欄に「㉜期間別確定保険料算定内訳」を記載する欄が設けられています。

申告書を書く準備として計算支援ツールをどんどん利用しましょう!
集計作業自体は、厚生労働省ホームページから誰でも無料でダウンロードできる「年度更新申告書計算支援ツール」を使って行うのをオススメします。

この計算支援ツールはエクセルで作られており、主に次の2つのシートを使います。
「①算定基礎賃金集計表」シート
「②申告書記入イメージ」シート

「①算定基礎賃金集計表」シートには、月ごとの賃金総額や賞与額、労働者数を入力していきます。
月ごとの数字を入力していくだけで、月の合計だけでなく、年度合計の金額が計算され、申告書記載に必要な数字が計算されます。
一番下に「令和4年度確定保険料算定内訳」という欄があり、ここに「労災保険率」「雇用保険料率」を入力すれば、自動的に内訳表が作成されます。

次に、「②申告書記入イメージ」シートの該当欄へ下記内容を入力、または選択します。
・送られてきた申告書記載の「申告済み概算保険料」の金額
・精算方法を「充当」または「還付」のどちらかを選択。
・延納ができる場合、延納回数を入力する。

これらの必要事項を入力すると、「②申告書記入イメージ」シートの申告書欄と納付書欄に必要な金額が反映されます。

変更点の申告書の「期間別確定保険料算定内訳」という欄についても、計算支援ツールを使えば迷うことはありません。
なぜなら、計算支援ツールの「①算定基礎賃金集計表」の「令和4年度確定保険料算定内訳」が計算できれば、金額は「②申告書記入イメージ」シートの「期間別確定保険料算定内訳」欄に数字が反映されるからです。


計算支援ツールで基礎資料を作成する。
計算された数字をそのまま紙の申告書に転写する。
出来上がった申告書を労働局へ提出する。
受付終了したら保険料を納付する。
(口座引落手続きをしていれば提出で業務終了です)


電子申請する場合でも流れは同じです。

なお、今回解説した労働保険年度更新は、「継続事業用」という一般の会社向けのものとなります。労働保険年度更新には、建設現場などの一括有期継続事業向けのものもあります。
「一括有期事業用」の年度更新申告書の書き方については、下記を参考にしてください。

今回もお読みいただき、ありがとうございました。

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