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少年野球⑨:優勝より価値ある3位

秋の市大会・区大会が終わると、息子を含む6年生が引っ張るチームで臨む公式戦は終了となり、卒団までカウントダウンとなる。
市大会は予選2回戦で涙を飲み、いよいよ最後の区大会に臨む。

区内の全15チームで争う区大会。全4ブロックの予選リーグに分かれ、各々上位2チームが決勝トーナメントに進出する。
ここで、息子のチームは3チーム総当たりで2つの椅子を争うブロックに入った。
もちろん2勝できれば勝ち抜きは決まりだけれど、1勝1敗のチームがいくつも出てくる場合もあり得て、その場合は直接対決の結果や得失点差次第では、敗退もありうる。4チームのブロックより実は難しいのである。

その予選リーグで最初に対戦するチーム。かつては正直言って弱くて、何度も打ち負かしてきた相手である。

但しそのチームも上達していて、エース級2名が受験準備で抜けた新生チームではじめて対戦した際は、苦杯をなめた。
その時コーチには「あのチームに負けるなんて恥だ、お前らもう野球やめちまえ」なんて酷い罵詈雑言を浴びた。
このメンバーで戦うしかないのだ。
なのに首脳陣は鼓舞するどころか、いつまでも彼ら2人が引っ張るチームの幻影を追って、怒りの矛先を子供たちに向ける。いい加減にしてくれよ。。

この区大会初戦も、果たして痺れる接戦になった。
かろうじて1点リードした展開で、マウンドに立つのはうちの息子。
ハラハラして脇で見守っていたら、次の試合を待つ他のチームの子たちが「お、すごくいい試合してる!あいつ(うちの息子)が投げてるよ、見ようぜ!」と言って、集まってきた。
ライバルチームの子たち、区内の試合での幾多の対戦を通して、その多くは既にお互い顔見知りになったけど、キャプテン就任で更に有名になったらしい。パパとしてはなんだか嬉しい。
そんな子たちと一緒の応援が実り、初戦突破!
「あのチームにたった1点差勝ち?」とブツクサ言う監督コーチを横目に、素直に喜んだのでした。

2戦目は、ちょっと力の差がある格上の相手に完敗。
でもそのチームが、初戦で倒した相手もきっちり倒し2勝して1位で、我がチームは1勝1敗で辛くも2位で、予選リーグを通過し決勝トーナメント進出を決めたのでした。

決勝トーナメント初戦。
幸先よく先制するも追い上げられる展開ながら、最終回に息子のダメ押しランニングホームランが飛び出し、見事な勝利!

決勝トーナメント2回戦=準決勝は、今まで何度も勝ち負けを繰り返した、同じ町の宿敵のライバルとの対決。
区内屈指の好投手に打線が封じられ、健闘及ばず敗戦。。

最後の区大会、ベスト4。立派である。
表彰式では3位の賞状とメダルをもらい、息子は個人的にも、敢闘賞のトロフィーをいただいたのでした。
(これ、3位のチームのキャプテンがもらえると決まってるそうですが。)

過去にこのチームでは、優勝も準優勝も経験した。
でも私にとっては、この大会の3位がいちばん印象深いし、優勝よりもずっと価値があると思っている。
だって、エース級2人が抜け、怪我人続出で満身創痍の中で、うちの息子がキャプテン・ピッチャー・4番打者の「三刀流」を務め、まとめたチームで勝ち取ってくれたのですから。

野球を通して着実に成長している姿に、じーんと感じるのでした。

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