[詩]「動けないなら……」

どん底に落ちた暗闇の中。


身体が動かない。

 

先の見えない恐怖。


頑張っても結果が出ない絶望。


使い潰される嫌悪感。


身体が動かない。


心臓の鼓動がはやくなる。


動けない。


でも。


動けないなら。


恐らく私はこのまま死んでいく。


変われないまま死んでいく。


それが、ただ。


どうしようもなく。


嫌だった。

だから……

指が震える。


鼓動が高まる。


詩を詠う手すら止まりそうになる。


止めるな。


「動けないなら、ここで死ね。」


耳元で呟く現実に向かって。


ドロドロ蠢く現実に向かって。


ありったけの思いを叫ぶ。


まだ、やりたいことがある。


まだ、やれることはある。


脳を回せ。


身体を動かせ。


勇気を振り絞れ。


言い聞かせろ。


諦めなければ。


自分を信じられるなら。


きっと……


どん底の暗闇の中。


遥か遠くの空を見上げる。 


飛行機雲が曇り空を切り裂いて。


ほんの僅かに、光が漏れる。


這い上がるように手を伸ばす。


この先なんて知らない。


結果なんて関係ない。


使い潰されたとしても。


その光に、手を伸ばした。

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