見出し画像

助動詞の「まほし・たし」を扱います。短歌を中心に用例を提示します。古文単語 その45★相性は 聞きたし 年は隠したし★いくとせも かはらで見まく ほし月夜 鎌倉えびの 腰折れの友

助動詞の「まほし・たし」を扱います。短歌を中心に用例を提示します。古文単語 その45

★相性は 聞きたし 年は隠したし

★いくとせも かはらで見まく ほし月夜 鎌倉えびの 腰折れの友

いくとせも(幾年も・これから先、何年も) かはらで(変はる・未然形プラスで・ずして)見まくほし(見たいものだ・会いたいものだ・つきあいたい) ほし月夜(星月夜・枕詞→かまくら) 鎌倉えびの(鎌倉の海でたくさん採れる海老のような) 腰折れの友(下手くそな歌を詠む友人)

○ 限りとて 別るる道の 悲しきに 行かまほしきは 命なりけり

         源氏物語 桐壺 更衣

(助動詞まほし願望) 話し手の「~したい」という願望・「見まくほしき」などと言っていた「まくほし」から転じた形・まくほし(ま・推量の「む」プラス「く・名詞化・コトニハ」プラス「欲し」)→まほし・推量の「む」には未然形が古代に存在。~したい・~でありたい

知らまほし 見まほし 見られまほし 行かせまほし

限り(この世の最後)とて(と言って・と思って) もう私の命もこれまでと言って
別る 下二段・道(あなたと別れる死への道)名詞なので「わかる」を連体形にする
かなし 形容詞 イトオシイ・カナシイ
に 接続助詞 ノニ・ノデ・スルト 連体形接続 そのお別れの死への道が悲しいので
行く 四段
まほし 希望の助動詞 未然形接続
は 係助詞 連体形接続 私が行きたい道は
命(生命・生きる道)
なり 断定 名詞連体形接続 デアル
けり 過去詠嘆 デアルコトヨ 連用形接続 生きていく道であるなあ。

★相性は 聞きたし 年は隠したし

○ 菫(すみれ)ほどな 小さき人に 生まれたし

         
漱石俳句集 岩波 
(助動詞たし願望)「~したい」という願望
知りたし 見たし 食べたし 来られたし 行かしめたし

ほどな(程度の・なは口語の断定)菫は可憐だが、一方ではとてもたくましい。もう一度生まれ直すことが出来るのであれば
ちいさし (形容詞・連体形)人 名詞なので「ちいさし」を連体形に
うまる (むまる 生まる 下二段)たし 希望 連用形接続

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?