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助詞を扱う前に「形容詞の全体像」を扱います。短歌を中心に用例を提示します。古文単語 その48 「けり・過去の助動詞」「あり・ラ変」などと混同し、頭がゴッチャになって訴える諸君がたくさんいました。でも、こんなのは生きていくことや結婚することには何の関係もないですから、わからなかったら、わからないで仕方がないです。文法は気にしないことです。★姉様の 男くさきは 誰がにほひ★重けれど うれしきひとの 膝枕

助詞を扱う前に「形容詞の概要」を扱います。短歌を中心に用例を提示します。古文単語 その48 「けり・過去の助動詞」「あり・ラ変」などと混同し、頭がゴッチャになって訴える諸君がたくさんいました。でも、こんなのは生きていくことや結婚することには何の関係もないですから、わからなかったら、わからないで仕方がないです。文法は気にしないことです。★姉様の 男くさきは 誰がにほひ★重けれど うれしきひとの 膝枕



★姉様の 男くさきは 誰がにほひ


くさき(くさし・形容詞・連体形)誰が(たが・だれの)

★重けれど うれしきひとの 膝枕


重けれ(おもし・形容詞・已然形)うれしきひと(恋人)

物事の状態・性質や人の感情を表す言葉は、現代語では「白い」「うつくしい」「はげしい」などの「~い」で終わるものと「静かだ」というように「~だ」で終わるものがあります。
「~い」の形 を形容詞と言い、 「~だ」で終わるもの を形容動詞と言います。

古典の形容詞は 終止形が「~し」 となります。

「~し」で終わらせて、「白し」「うつくし」「はげし」となります。形容動詞は 終止形が「~なり」、「~たり」 となり、「静かなり」「堂々たり」のようになります。

日本語の形容詞は「終止形」が「い」で終わる特徴がありますが、英語 adjective にはそのような語形上の規則はありません。「文章の中でどういう働きをしているか」で決まります。形容動詞もありません。

形容詞には、動詞と同じく 未然形→連用形→終止形→連体形→已然形→命令形 と活用形があります。

活用は     く・から→く・かり→し→き・かる→けれ→かれ   

これは下の二本の活用を一本にまとめたものです。
① く く し き けれ ○  
② から かり ○ かる ○ かれ    

②の方は  「連用形く」  に 「ラ変動詞 あり 」 が接続して他の助動詞や「なむ・ばや」などに接続しやすくなったものです。         
く あり  → かり   く ある  → かる    く あら  → から         
あかくあら ず →  あかから ず

○以下の説明は、読まなくていいと思います、読むとわからなくなるかもしれません。

旺文社 古語辞典の説明を基本に書いてあります。

★「く、から」 未然形の「く」 については、問題があります。書かれていない教科書もあります。
 係助詞の「は」は、形容詞型活用の語、及び打消の助動詞「ず」の連用形に付いて仮定の条件を表すとされています。なくは(無しプラスは)は「ないならば」と訳が出来ます。
この用法で「は」が「ば」と濁って解釈され、接続助詞と解する説があります。ただ、「は」と清音で表記されていることから、係助詞と解する説が妥当です。

 この用法は、時代が経つにつれてしだいに 条件をあらわす形のように 意識されて行き、室町時代には、接続助詞のように意識されるようになっていきました。江戸時代には「ば」と濁って言われるようになったようです。係助詞「は」は連用形接続ですが、その後、濁音化され、未然形接続の接続助詞として 使われるようになったのではないでしょうか。高校古文の文法書には「仮定条件を表す助詞」として未然形接続の「ば」は表示されていますが、「連用形接続の仮定法としての接続助詞・は」は単独では表示されていません。しかし、使用例があるので、未然形の欄に(  )をつけて、教科書には表記されていると考えられます。

○形容詞の見分け方 を知っておくと便利です。

①  パターン1    ~し  プラス 「と」「 。」の前

             
あかし と 言ふ   月いと明し 。              

☆ 間違いやすい例外 
「ぞ・なむ・や・か」が上にあり、係り結びになる過去の「き」花なむ咲き し 。      

②  パターン2   ~から・~かり・~かる・~かれ  の形 

             あかから・あかかり・あかかる・あかかれ → あかし    

☆ 間違いやすい例外 
たから・べから・まじから・まほしから は、 たし・べし・まじ・まほし  の助動詞   

③  パターン3   ~く・~う・~き  の形 で ~イ にしてみると現代語の形容詞になる形   

         
あかく→ あかイ  うつくしう→ うつくしイ   つめたき→ つめたイ                

☆ 間違いやすい例外  鳴 き →  鳴きイ × (イをつけて意味がおかしければ動詞です   鳴く)

○形容詞には「語幹だけの用法」があります。

教室でお習いしていることのまとめです。
①感動で終止 幼し あな おさな
②助詞の連体修飾 憎し にくの男
③~げ~さ~み名詞化 うしろめたし うしろめたさ
④~み原因理由 はやし 瀬をはやみ

★世の中の 人の心は 春の花 うつろひやすき 色にぞありけり

○ 長からむ 心も知らず 黒髪の 乱れて今朝は ものをこそ思へ                   千載集八〇一

平安時代の絵に描かれている女性は、なぜ扇をいつも手にしているか
→ 十二単(じゅうにひとえ)という服を着ている。手が服の中に入ったら出せない。ほんとかね。
ながからむ心も知らず(形容詞ながし未然形プラス推量む連体形プラス心・長しの連用形ながくプラスありラ変未然形あらプラスむ→長くあらむ・長くあるだろう心も知らない・これから先、長い間わたしを愛してくださるだろう、あなたの心もわからない)
黒髪の乱れて今朝は(夕べ、貴方が来られて朝早く帰って行かれた、そんな私は髪の毛が乱れているように心も乱れています、今朝は)
ものをこそ思へ(係助詞こそプラス四段思ふ已然形・こその結び・物思いをすることです)

○ 人もをし 人もうらめし あぢきなく 世を思ふゆゑに もの思ふ身は


    続後撰集一一九九

★島流しのパターン(流刑地の場所による区別)を紹介します。

知っていても受験には関係ないです。①②③の順に重くなります。

①こんる(近流) 越前・安芸(高知)
②ちゅうる(中流) 信濃・伊予(愛媛)
③おんる(遠流) 伊豆・佐渡・土佐・隠岐(島根)・安房(千葉)・常陸

ひともをし (をし→惜し(残念で心残りだ)愛し(いとしい・かわいい)あるときには人をいとおしいと思う)
人もうらめし (恨めし・うらむ上二段→未然形うらみ、連用形 うらみ  になります。
今は五段活用で 未然形は うらま です。
・裏は心と言います。み廻は平安でない・ひねくれている状態→他人を見て自分が恵まれていないことがわかり心が傷つく状態のようです。だから、うらめしは、ねたましいと思うという意味でしょう・あるときにはねたましいと思う)
あぢきなく (形容詞あぢきなし連用形・おもしろくない・鎌倉幕府があれこれ圧力をかけてくるので、思うように出来ず、腹が立ち面白くない)
世を思ふゆゑにもの思ふ身は (世の中を面白くないと思うゆえに、あれこれ思い悩む、この私には、ある時にはひとがいとおしく、ある時には恨めしい。)
後鳥羽院は承久の乱の後、最悪の隠岐の島へ遠流されてます。

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