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掌編小説

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掌編小説集です!
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#掌編小説

壁(掌編小説)

壁(掌編小説)

 わたしは壁と一体化するのが得意である。さて、どういうときに壁になるのかと言えば、例えば妻と娘がつまらぬ言い争いをしているとき、社内でなにやら火の粉を食らったとき、街中で不審者が平和をぶっ壊しているとき、わたしは壁に身体をぴたりと寄せ、壁の一部になる。壁はわたしを吸収し、わたしは壁の内部に入る。壁になっている間、わたしはわたしという存在を手放し、壁という生命を身体に吹き込まれる。壁の中に入ったわた

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音を聴く(掌編小説)

音を聴く(掌編小説)

 ド、ド、ド、ド、ド。
 およそ一週間前だった。ピアノの音が部屋の空気を揺らすようになったのは。迷惑、と感じるくらいに強い音ではない、シャボン玉のような丸いものに包まれたように優しい音で、つい耳を傾けてしまう。
 ド、ド、ド、ド、ド。
絶対に“ド”以外の音が鳴らされることはない。同じ音を連打しているだけのそれは、はたして音楽と言えるのだろうか、と考えていると、今日もまた、ド、ド、ド、ド、ド、と聴こ

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