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「この家にいたくない」息子に泣きながら言われた日

「この家にいたくない」
涙を流しながら強い声で息子から言われた。

ことの発端は、朝起きてiPadを充電しようとした息子が、
充電器を取る時に、
私が充電していたカメラを床に誤って落としたこと。

大切な(そして高い)カメラを不注意で落とされて、
イラッとしてしまった。

幸いカメラは壊れていなかったけど、
イライラは止まらない。

そこでつい目に止まった、カレンダー。
息子はチャレンジタブレットと
ソロタッチというそろばんアプリを
毎日やることになっている。

やった日には○
やらない日は×をつける。

×が3日連続続いている。
最近の息子はスポーツにハマっていて、
家にいる間はずっとスポーツの動画を見ている。
戦略を学んでいるし、
好きなことに没頭させてあげたいと頭では思っているが、
本音を言えばずっと動画にハマらせていいのだろうか?と
不安な気持ちをずっと抱えている。

そして、やるべきことをやっていない。

あえて自分から気づかせようと放っておいているが
3日連続やっていないことが今月でも2回目。

カメラを落としたことと全く関係ないのに
口からつい出てしまった。

「ねえ。また3日連続でやってないんだけど。
 動画ばっかり見てないでいい加減にしなよ。」

勉強をやらせる動機付けがうまくできていない点と
私のカメラの充電の位置が悪いことは棚に上げて
つい強い口調で言ってしまった。

息子が下を俯く。

少しするとポロッと涙を流していることがわかった。

「まずい」

直感でそう思った。

言いすぎたな・・・・傷つけたな・・・と
ハッとしている私に追い討ちをかけて
普段穏やかで強い口調で物を言わない息子が
下を向いて泣きながら強い口調で言った。

「もういやだ!好きなことができないこんな家にいたくない!!!」

ショックだった。
幸福学を学んだり、子育ての本や講座で色々学び、
子どもの自主性を伸ばしたい、好きを伸ばしたい、
そう思って子育てしてきた。
「すごい虫育児」なんて本を書いて、
子どもの好きを伸ばすには?なんて偉そうに言っている。

「新学期は子どもは新しい環境で慣れていないから
 家では優しくしてあげよう」
なんて優しいママを装ってVoicyで発信もしていた。

けど現実は、
でも結局は、子どもに無理やり勉強させようとして、追い詰めて、
家にいたくないなんて言わせてしまっている。

悲しみと切なさと後悔と申し訳なさと恥ずかしさと・・
いろんな感情がぐるぐる混じり始める。

子育てで一番大事なことは
子どもと信頼関係を築くこと

そう思っている。

けど実際はできていなかった。
命令して自分の思い通りにいかせようとしているだけだった。

とにかく、涙を流す息子の背中をさすって、
ごめんね、ごめんね、強く言っちゃってごめんね
ちょっとお話聞かせて
何が一番嫌だった?
と聞くと、

毎日そろばんをやらないといけないこと
それをやらないと私が強く言うこと

これが嫌だったそう。

計算力は幼少期につけてあげたい
学力のベースであると思っているため
どうしてもそろばんだけは習得させてあげたかった。

やらされ感では伸びない
内発的動機付けが必要
頭ではわかってるのに、
そろばんだけはなぜか変なこだわりを持ってしまっていた。
自分が計算力がないことで苦労しているからだ。
1日5分くらいだし
それくらい継続させた方がいいだろう。

せめてそういう想いがあるなら、
もっと上手にやる気を引き出す方法があっただろう。
でも強制というやり方をとってしまっていた。

そしてやらないとイライラする。

それだけならまだしも
最近はいろんなことが目について、

ほらまたお皿下げてない!
ほらタブレット忘れてる!
また脱ぎっぱなし!
いい加減部屋片付けて!

息子にずーっとなんだかガミガミ言っていたように思う。

どれくらい思ってたの?そう聞くと、
1ヶ月くらい・・と。

ちょうど仕事が忙しくなったり、色々重なった時。
自分の時間管理ができていないせいなのだけど
やりたいと思っていることがあまり進んでいない。
そんな焦りがあった。
停滞期だなと感じていた。
そこからくるイライラを、無意識に、いや、
意識的に息子に当てていたんだろう。

「ごめんね、ちょっと最近ママイライラしてて、
 たくさん強く言っちゃっていたよね。
 ごめんね。」
背中をさすりながら謝り続けた。

少しすると息子も落ち着いてきて、
朝ごはんを食べて、学校の準備をし始めた。
落ち着いたのか、声のトーンも普段通りになり、
普通の会話ができるようになった。

もうすぐ家を出るくらいの時間にふと息子が
「ずっと言えなかったけど、言えてよかった」
そう言ってくれた。

「言うとすっきりするね」とも言ってくれた。

偉そうに言える立場じゃないとは思いつつ、

「そうだよ、嫌なことはいやって言っていんだよ。
 そこから話し合えばいいし。
 お友達と何かあって嫌だなと思ったら言っていいし、
 言えなかった時はママに言っていいんだよ。
 自分の中でずっと考えちゃうのは辛いから、吐き出していいんだよ」

「うん、そうだね〜」

そんな会話をして、息子は学校に行った。

自分が引き起こしたとはいえ、
嫌なことは嫌と言っていい。
それを伝える機会になってよかった。

反省だらけだけど、唯一の救いは、
嫌と言える関係性だったこと。
(1ヶ月は我慢してしまっていたけど・・・)
感情を出せる関係性を築けていたこと。

もちろん今回のことは私が100%悪いけど
それでも、今までの信頼関係のおかげで、
大きな亀裂にはなっていないと思う。
多分・・おそらく・・・・。(そう思いたい)

日中はひとしきり反省。
こういう時、一緒の立場で話を聞いてくれる人がいたらなと思った。
シングルマザーって子育てのことを全部自分で決められるから楽なんだけど
子育てで悩んだ時、同じくらいの愛情の深さで考えてくれる人がいないのは、こういうときちょっと辛いなと思った。ちょっとだけね。
これから先も息子が成長していくなかで、
こうした悩みは増えていくだろうから。

夕方、雨が降っていたので、
いつも一人で学童から帰ってくる息子を
お迎えに行った。

「あれ?ママどうしたの?」

「雨降ってるからお迎え来たの」

「いつも来ないのに?笑」

「朝のことを反省してるんだよ〜。
 今日はあなたの大好きなスパゲティにするね。」

なんて会話をしていたら、
息子が気を遣ってくれたのか

「僕がお家の好きなところは
 ママが好きな物を作ってくれること
 ママがいつも笑顔なこと
 たまに仕事でイライラしてるけどね(笑)」

そんなことを言ってくれた。

必死に愛情をいっぱいかけていると思っていたけど
愛情をたくさんもらっているのは私の方だ。

こんなに愛されたこと、人生であるだろうか。
自分の悪いところも全部受け止めてくれて、
傷つけられても、それでも愛してくれている。

とりあえず新学期の疲れが出る頃。
チャレンジとソロタッチについては4月は何も言わないことにした。
(そして本当にやらない息子)

チャレンジは息子がやりたい!といったものだけど
もうやめてもいいかなあ。
ソロタッチは・・・やっぱりやって欲しいから
ゴールデンウィーク終わったあたりで生活が落ち着いたら
ちょっと息子と話そう。(しつこい)
でも、なんでやったほうがいいのか、ちゃんと話そう。
ただやれ!といってもモチベーションはわかない。

この1週間穏やかに過ぎて、息子も笑顔が増えた。
家では最近はおさるのジョージをみながら
ずーーーーっとレゴをやっている。
週末は4時間くらい話もほとんどせず没頭しているし
昨日の夜ご飯なんて集中していて1時間遅らせたほど。
モノづくりにアンテナがたっている時期のよう。
そして昨日の夜ご飯の時の会話は虫トーク。

レゴ、スポーツ、おさるのジョージ、虫・・・
好きなことをやっている時の息子は
真剣でそしてイキイキした顔をしている。
この表情をちょっと奪ってしまっていたな。
反省。

子育ては日々反省の連続。
子育ては親育て。
こうしてたくさん愛してもらって、
ぶつかって、反省して。
たくさん成長させてもらえる。

あなたのおかげで人間として成長できています。
ありがとう。

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