私たちはベッドの上でただ寝転んでいた。 肌寒い秋だった。 そのうち夕方になり部屋は薄暗くなった。 わたしにキスしたり、胸を触ってきたり それ以上は反射的に拒んだ私。 でも、嫌じゃなかった。心地よかった。 それから何年かあと、最も簡単にわたしからキスをした。 自分の欲求を満たす為に、周りから目立つように。そうして安心したかった。心がものすごく貧しかったのだ。 そのあとは会えなかった時間を埋めるようにお酒を飲みに行ったり、家に行って料理して飲んだり、夜にドライブしたり、親
夏の太陽より、寒くなったころの太陽がすかれるのはなんでか知ってる? 暖房器具のなかった頃にきっとぼくはうまれた。 あったかいから外に出るんだ。 ただそれだけなのに、なんですいてくれるのだろう。誰でも思いつくのになんで私を信じるのだろう。 わからなかったし、君たちと一緒になれる気がしなかった。 だからと言って離れなくもなかったよ。 いっしょにからだをささえあって、ただ友達でいたいだけ。 なんでカテゴライズが必要なんだろう。 安心はただ目の前の人にあるのに。
あんなにも、興味津々だったことが 手からボロボロと落ちていく感覚ほど 悲しいことはないよ。 だってあの時は、すごくワクワクして もっと知りたいって思ったのに、 いまじゃお腹いっぱいになって ちょっと気持ち悪いくらい。 ほら、またフェーズが変わってきた。 好きなことも、関わっていく人も簡単に変わっていく。 自分も毎日違う。 でもやっぱり好きで夢中でいたかった。 いつも成長している最中は苦しいな。 もっとそれに甘えて入れたら楽だった。 まじ、一瞬もおなじ時間がないな
また、運気が下がる時期が来た。 わたしは下がっている時は、太る。 体が不調になり、外に出れず身体に重力が押しかかる。 自分がもうひとり身体の上に乗っているみたい。 あつくて、圧迫感を感じて呼吸が辛い。 動けないストレスから食べてしまう。 前まで食べなかった、油菓子や砂糖を口にするようになる。 それが欲しくなる時期は決まって、こころが苦しい時。 あっという間に太る。 そう言う時期が終わりを迎えると、瞬く間にスイッチが入って野菜しか食べないとか、歩き始めるとかそう
蒸し蒸しと、曇って暑い。 どんよりした朝。 去年にも増してぐずぐずした気候に嫌気がさして、予定があるのに朝からワインを手に取った。 あぁ、みんなみたいに生きれない。 みんな起きてコーヒー飲んで朝ごはん食べて出勤するのに、なんでそうしないんだろう。 昔から人と同じことをするのが嫌いだった。 みんながまっすぐ行くなら、一歩右に出た道に進む方だ。 就職活動で面接に並ぶ列にみんな綺麗に一列になってた。 わたしは一歩右に出て歩いた。 エスカレーターもみんな左に乗るけど、わたし
いいとか悪いじゃなくて その人がリアルなのに価値がある。 要は、本音を言ってるっていうこと。 倫理観が死んでる人でも、その人の本音の音を聞くとそれが美しく見える。 わたしも所詮倫理観が全ての人と違うので共感する。 それは個性でもあるし、出産し続けることに変わりはない。 意味があることとないことがあるんだけど、 それも人によって違うし、それにつく値段も違う。 わたしにはわたしの価値観があるし、あなたにはあなたの価値観がある。 そんなあなたが1人の他人と付き合って
夕飯時にふとウイスキーが飲みたくなって、ニラ玉を作りながら飲んだ。 キッチンの北側の窓からお隣さんのお風呂の匂いがする。 あぁ、なんてこった。 酒とニラ玉とシャンプーの香りはあまり知らないのにキスした人の口の匂いが蘇って焦った。 わたしはしゃがみ込んだ。 どうしよう。 いや…どうもしないのだ。 生きることは食べて飲んで悩んで楽しむことが醍醐味なのだから。 後30年生きれるかな。 あと15年でもいい。 そんなに未来には期待しないし、わたしはひとりだし。 ひ
タバコの匂いは複雑な気持ちになる。 好きな人が吸ってたら好きになったのかもしれない。 わたしはただ自分から逃げるために、人に好かれようと吸ったことがある。 その時わたしに必要だったドラッグ。 十九、二十歳の時に自分に上手く区切りをつけた。 おかげで今は自分が好きだしこころが健康。 歳をとると体のガタはくるけど、こころが死んでない限りつらさも巻き込んで生きれる。 死んじゃったあの人が吸ってたタバコはもうこの世にはないし、あの時も戻ってこない。 その時は自分にとっ
日が長くなり、季節の変化を感じる日。 窓から雨が入っちゃうから閉めておく。 蒸し蒸しするから、扇風機を回している。 時々体にあたる風が汗を和らげる。 ふたりは汗ばみながらお互いのからだを舐めたり噛んだりした。 持ってるものも感じることも今は一緒だと信じて、お互いに違う。 違うけど言葉にして通じ合うのが怖いから、部屋はときどき艶やかな吐息がふく以外静かだ。 雨の音と汗、扇風機の風を切る音がこころを熱くする。 たくさんの時間を一緒にすごくうちにお互いが寄り添って揃
調布駅で乗ったバスの中。 わたしは運転席に近いタイヤの上の席に座った。 野菜が新鮮そうだったので、買い物袋にたくさん買った。 ふと、外を見るとひとりで歩いている同い年くらいの人と目が合った。 わたしは、その人を見て一瞬時が止まった感覚がした。 アイフォンのスローモーション機能のように、目があっている時間を長く感じた。 少し長めのショート、素敵な目、シンプルな服装。 美しいコッカースパニエルのよう。 色気があって、透き通っていた。 わたしもきっと話してみたいと思った
キミはつよい。 そこには早く着いていたのに、経血が止まらなくてナプキンを何度も変えても追いつかず間に合わなくなった。 やっとトイレから出たら、疎遠になった同級生と偶然会った。 作った笑顔と軽い会話をしてその場を後にした。 キミのところへ途中参加したわたしは、会場のふかふかしたベットに座った。 隣の若い3人組に軽く挨拶をした。 2曲が終わった後、少し休憩があった。 客席に来てくれたキミはみんなと握手したり一緒に写真を撮ったりしてくれていた。 近くに来てくれたので、わ
小学校の校庭の脇にある池。 おたまじゃくしがうじゃうじゃいて少し気持ち悪い。 わたしは一年生、六年生のお姉さんに手を引かれ遠足。 黒ごまとカリカリ梅のかかったご飯。 不安とワクワクが交互にくる。 今は不安だね。 これからのことなんて何もわからないんだもの。 でもこれまでのことなら解ってるから不安じゃないね。 すぎちゃった時間は膨大な時間なのに、覚えてることはこれっぽっち。 思い出して、忘れて、思い出したくないことは鮮明に。 まだ解決しない忘れ物。 なくなった大切な
あなたのストーリーが美味しい。 どうすれば人の深いところまでいける? あなたのストーリーを聞かせて。 どこから来た、何をしてる、好きなものはなに、 あなたの大切なものは、何をしてる自分がすき わたしも話すね。 誰ひとりストーリーがない人はいないよ。 みんな誰かの子供で、存在してる。 いま、何してるのが好き? あなたのこともっと知りたいよ。 美しいバックグラウンド。 みんな、だから美しい。 辛いこと、恥ずかしいこと、見せたくないもの みんな持ってる。 それは美しさ
どうして毎日夢に出てくるの。 触れられる距離だけどお互いに触れない、 大人が間に入れない距離だけど、赤ちゃんがすっぽりハマるくらいの隙間が空いている。 とても心地いい距離。 キミといれるんじゃないかという錯覚。 部屋に涼しい初夏の風が入る。 気持ちいい風がほてった頭を冷静にしてくれた。 stay in slow.
キミの声を聞いて、今日は安心した。 あの時聞いたキミの声は怖かった。 言葉は同じなのに感じ方が違った。 体調悪い時のセックスと体調いい時のセックスのよう。 不変の外にあるタイミング。 でも、 それって本当にタイミングだけの話かな。 何も知らされてないキミと、出会う時間は選べないけど、 選べたらキミにいちばんのタイミングで出会うよ。
ねっとりとした愛に包まれたい。 離れたい時には自由になれる、でもまた恋しくなる。 そんな関係が存在する。 わたしにとって誰とかじゃなく、たぶん空想の話なのだけど、昔から夢や妄想の中に誰かわからない人がでてくる。 それは、前世の記憶なのか、一緒にいる風景や景色が鮮明に何度も夢に出てくる。 その度に素晴らしく温かく恋しい気持ちになる。 わたしの絶対的な肯定。 あなたは誰なの。