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読書レポ|両利きの経営

518ページのリーダーシップ本を読みました。

『両利きの経営 「二兎を追う」戦略が未来を切り拓く 増補改訂版』
チャールズ・A・オライリー/マイケル・L・タッシュマン

両利きの経営とは、深化と探索の両方を追求する経営のこと。

社会や技術が素早く変化する現代においては、既存事業の成功が”時代を遅れ”を生み出す元凶になる場合もある。(サクセストラップ)

よく勉強をしている人ならば、「そんなことはわかっている」と思ったかもしれない。

この本がすごいのは、「両利きの経営が大切だ」とただ声高に叫ぶだけでなく、様々な企業の成功事例、失敗事例から、両利きの経営を目指したときにあらわれる課題や、その課題の乗り越え方まで踏み込んでいるところだ。

深化と探索は、反対方向の力が必要である。(探索とは既存事業の焼き直しや、小さな改善イノベーションではなく、自社にとって未知の領域への拡大を指す)

方向性が違うので、既存事業のマネジメントやリーダーシップでは、適応できない。つまり同じ組織・風土の中で両立させるには常に矛盾が生じる。

本書では、両利きの経営に立ちはだかる課題は、経営者(層)や中間管理職(ミドルマネジメント)による、リーダーシップの課題であると位置づけている。

つまり、両利きの経営の成否はリーダー次第ということだ。

両利きの経営を実行する際に必要なリーダーシップの5原則を以下に抜粋する。

1. 心に訴えかける戦略的抱負を示して、幹部チームを巻き込む
2. どこに探索と深化の緊張関係を持たせるか、明確に選定する
3. 幹部チーム間の対立を回避せずに、向き合う
4. 意図的にユニットごとに異なる基準を課して「一貫して矛盾する」リーダーシップ行動を実践する
5. 探索事業と深化事業に関する議論や意思決定の実践に時間を割く

第1,第5の原則は、普遍的なリーダーシップのありかただが、2,3,4に関しては複雑かつ高難度なリーダーシップである。

経験や明晰で論理的な思考力だけでなく、強い意志、精神力、高度な調整力などが求められると感じた。リーダーとしてはかなりのハードモードと言える。

この時代に経営の持続可能性を担保するには、訓練により身につけた強さとしなやかさを兼ね備えたリーダーシップが必要なのだろう。

チャレンジしてみたい気持ちはあるが、正直、うまくできる自信はない。
ただし、非常に重要な観点であることはたしかだ。


めでたしめでたし

立崎直樹

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