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介護現場の数字④営業トークに数字を入れる

新任マネジャーとともに、介護現場の数字の扱い方について学ぶnote第4弾

前回までに「数字を読む」ためには、2つ以上の数字を比較する。さらに数字を分解して比較する。というお話をしてきました。
前回の記事を読んでからの方が話が通じやすいです。

忙しい人のために前回取り上げた2件のデイサービスの例を引用

デイサービスAの終了人数は2名
 〔ご逝去1名、要介護認定が非該当(自立)となった1名〕
デイサービスBの終了人数は6名
 〔入院1名、生活機能低下2名、本人の意思3名〕

介護現場の数字③比較・分解・比較のくり返し

この二つのデイサービスの利用者純増数は同じです。
もし、あなたがデイサービスA、Bの管理者だったら、利用者を増やすためにどんな打ち手を繰り出すかを考えていきます。

デイサービスAは終了者が少ないので、利用者を増やすには新規利用者を増やすことに注力した方がいい、ということはわかります。
もう少し深読みするならば、お客さまが途中で辞めたくならない(=通い続けたい)サービスを提供できているけれども、それが外の人に伝わっていないために、新規利用者の獲得につながっていないことが課題です。
つまり対外的な営業が不足してると言えます。
では、何をアピールしたらよいのか。

食事がおいしい。アクティビティが充実。
たしかにそうなのかもしれません。10年前なら通用したかもしれないセールストークですが、今はどこのデイサービスも同じようなことを謳っています。

営業では、他と比べて自社の優れている点を、客観的に示すのが効果的です。
つまりここでも比較が大切。
「客観的に示す」のに最も適したツールが”数字です。

たとえば知らないまちで飲食店を探すとき、お店の方が書いた「うちのこだわりのハンバーグはおいしいです」というメッセージを見て、”そうかおいしいのか”と決めることは少ないのでしょう。
検索サイトの表示順にも左右されますが、僕たちは「どの店がおいしいか」を判断するときお店の方が書いたメッセージより、食べログ等のスコアを信じます。食べログについたコメントも参考にしますが、そもそも4.0の店と2.5の店が表示されていたら、まず4.0の店を見てしまいます。
数字で表されることで、客観的に”おいしい店”であると判断してしまうのです。そもそも”おいしい”に客観的な指標などなく、評価を投稿した人たちの主観的な評価の集合がお店の評価(数字)なのですが、数字で表されると僕たちは勘違いしてしまいます。

では、デイサービスAの特徴を数字で表してみましょう。
例示した数値は終了理由のみなので、終了理由をもとに考えます。

ここでもAとB比較を使います。
デイサービスBは本人の意思による終了が多いのに対し、デイサービスAの退去の理由は「やむを得ない事情」です。
裏を返せば「利用できる限界まで利用していただけている」と言えます。

とすると、たとえばこんな言い方ができます。
「当デイサービスは、利用を開始した方で「もう来たくない」と言って利用を終了した方が、過去〇ヶ月一人もいません。」

どうでしょうか。もしこれを数字を使わずに表現していたらこうなります。
「当デイサービスは皆さまに満足していただいており、毎回楽しみに通われています」
誰でも言いそうなトークです。

自立支援に力を入れていることも数字を用いることで説得力が増します。
「当デイサービスでは、自立支援に力を入れており、理学療法士が考案した体操と歩行訓練を行っています。」
というセールストークに数字を加えます。
「当デイサービスでは、理学療法士が考案した体操と歩行訓練の効果により要介護度が改善して、ついには非該当(自立)となりデイサービスの利用を終了した方が6ヶ月で8人います。
いかがでしょうか。数字を入れることによって、説得力が全然違いますよね。
(6か月で8人が多いのか少ないのかは平均値や他社との比較をするとより効果的です)

今日は、人に伝えるときにも数字を使うと説得力が増すというお話でした。

次回はデイサービスBの数字を分析して、その課題と対策を考えていきましょう。


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