見出し画像

【初級】中途採用面接の進め方

本日は中途採用面接の進め方についてお話しします。

新たな職員を採用するにあたり、採用面接は避けて通れません。

しかし「採用面接の方法」を教わった管理職はどれくらいいるでしょうか。僕も会社で人から教わったことはありません。

会社によっては質問項目が決まっていて、その項目に沿って聞くことになっているかもしれません。経営者ではない管理職、あるいは採用面接担当者が面接を担当する法人ならば、既定の質問項目を用意しておくのはいい考えです。面接官によって質問項目がバラバラということは、会社としての採用基準もバラバラということになります。

それなら面接は項目を埋めるように質問をしていけばいいのかと言えば、それは違います。人物を客観データだけで評価することは不可能です。選考には少なからず面接官の主観が入ります。いわゆる「人柄」です。

客観性を保つために、適性検査や性格診断テストを併用する場合がありますが、これらは判断する際の補完データであり、採用の決め手として活用するものではありません。

余談ですが、実際に面接を実施していない担当者や上席者は、面接官の評価よりも適性検査の結果を重視してはいけません。適性検査を優先するなら最初から面接を他の人に任せず自分の責任で行うべきです。


採用面接の基本スタイル

僕は採用面接時に以下のことに注意しています。

まず面接は2名で行います。役割は主で面接をする人と記録をする人です。

面接官がメモを取る姿は応募者のプレッシャーになります。「この言葉はメモをした」「この言葉は拾ってくれなかった」と。

だから面接者は基本的にメモを取らずに、相手の目を見て面接に集中します。

2名で面接を行うのには、面接後に評価をすり合わせる目的もあります。先ほども書いたように面接官の主観抜きで評価することはできません。面接後には担当した二人で互いに印象を話し合います。


定型の質問項目とヒアリングシートを用意しています。面接担当者が採用の最終決裁者でない限り、定型の質問項目は用意した方がいいでしょう。

最終決裁者は書類をもとに採用の可否を判断します。ですから、質問項目には最終決裁者が可否判断にあたり重視している項目を漏らさずに入れた方がいいでしょう。

体制変更等により最終決裁者が変わったり、事業環境の変化により求める人物像が変わっているにもかかわらず、何年も同じヒアリングシートを使い続けている企業がありますが、本当にそれでいいのかと僕は心配になります。


面接の仕方

面接で最も意識しているのは、相手の良い面を引き出すことです。

昔の面接は「どれどれ、どんな奴だか見極めてやろうじゃないの」という上から目線の面接でした。

特にいまの介護業界のような売り手市場で、そのような面接態度をしていたら、応募者の方からそっぽを向かれてしまいます。

今の面接は、面接官と応募者が相互に相手を見極める場です。

応募者は「この会社はどんな会社だろう」「どんな人と一緒に働くのだろう」「私のやりたいことができる会社なのだろうか」と面接官を通して会社を見ています。

僕は面接で相手の良いところを探しています。もちろん期待する役割や担ってほしい仕事に適合するかという視点は欠かせませんが、それと同時にその人が組織におよぼす”可能性”を探しているのです。

相手の人柄を知るために意識しているのが、相手がリラックスして話せる環境づくりと、相手の一番話したいことを引き出す質問です。


まずは、こちらから笑顔で自己紹介をします。そして相手の名前を呼び、応募職種の確認をして面接に来てくれたことへのお礼を述べます。

名前は履歴書に書いてあるのでわざわざ確認しなくてもわかっていますが、あえて口に出して呼ぶことで、私はあなたを承認していますというメッセージが相手に伝わります。


はじまりはいつも…志望動機から

面接に来る人は、たいてい志望動機ぐらいは用意して面接に臨みます。ですから最初は相手が用意しているであろう志望動機から聞きます。すると相手は「待ってました」とばかりに準備していた内容をスムーズに話せます。

最初の質問でつまづくと応募者はより緊張して、その後の質問にも思い通り答えられなくなってしまいます。だから最初の質問はゆる~いストレートで確実にヒットを打たせてあげることが大切です。


2問目以降は順不同

ヒアリングシートがあると、上から順番に聞きたくなりますが、面接も広い意味では会話です。会話には流れがあります

繰り返しになりますが、面接のポイントは話しやすい環境と相手の話したいことを引き出す質問です。とぎれとぎれの一問一答より、質問→回答→その解答をもとにした質問→回答→の方が会話がスムーズに運びます。

志望動機で相手の話しやすそうなポイントを見つけたら、相手の話した言葉を軸に質問して深堀します。話のつながりが良ければ予定していた質問項目に移ってもいいし、予定にない質問をしても構いません。

大切なのはヒアリングシートを埋めることではなく、相手の話したいことを引き出す質問です。そもそもヒアリングシートに沿って順番に聞くだけなら、シートに自分で答えを書き込んでもらえば十分です。規定の質問項目だけではわからない人柄を知るために対面で面接をしていることを忘れないでください。

もちろん採用の最終決裁者が判断に困らないよう面接項目を網羅することも必要です。面接を担当することになったら、決められた質問項目を頭に入れておいて、話の流れによってどんな順番でも質問を引き出せるように準備しておくのが理想です。


質問だけでなく、面接官も”語る”

先ほど、面接では応募者も会社や一緒に働く人を見ると書きました。ですから面接官も会社の魅力を応募者に伝えなければなりません。

面接に来た人に「絶対ここで働きたい」と思わせるようなプレゼンをしてください

語る内容は、会社や事業所の理念やビジョンに加え、現在進行形で取り組んでいること、どんな職員がいて、どんな人に入社してほしいと考えているかといった内容です。場合によっては人材募集が必要になった経緯をお話しすることもあります。ただしあまり長く一人で語るとシラケてしまいます。相手の共感を得るような話し方をしてください。

この際、絶対にやってはいけないのは嘘をついたり、誇大アピールをすることです。

嘘や誇大アピールは入社したらすぐにバレます。あなただったら入社した後に「面接で聞いた話は嘘だった」と気づいたらどう思いますか?絶対にダメです。


どんな内容を規定の質問項目に盛り込むかは、会社ごとの採用基準に合わせて作成するといいと思います。本やインターネットにでてくるフォーマットをそのまま使うのではなく、意図をもって質問することが大切です。限られた面接時間ですから意味のある質問をして、時間を有効に使ってください。


面接技術を学ぶには、実際に誰かの面接に立ち会うのが効果的です。機会があれば積極的に記録係を買って出るといいと思います。面接後には応募者に対する評価だけでなく、面接官に質問の意図を聞くことで、質問力を磨けます。


採用面接は相手の人生を左右する大切な時間です。

面接する側も、本気でその人の人生に向き合って話をしてください。

面接スキルは学びと経験によって身につけられます。感覚的な面接を卒業して会社も社員もしあわせにする採用面接力を身につけましょう。


めでたし〃


立崎直樹


介護事業所・介護施設向けに具体的な採用活動に関する相談を受け付けています。管理職や採用担当者と話し合いながら具体的な採用戦略の作成を支援します。広告の斡旋や人材派遣・人材紹介はしていません。まずはお気軽にコメント欄あるいはTwitterよりご連絡ください。

サポートいただいたお金は、介護医療現場で奮闘するスタッフの育成のための活動資金に全額充てさせていただきます。 サポートを通して、次代の介護スタッフの育成に参加しませんか。