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今のうちにAIによるケアプラン作成に備えよう

今日は少し未来の話をします。

僕は、未来のことを心配するより「今ここ」を大切にしようと考えるタイプです。しかし「今ここ」を大切にすることと、未来のことを考えないこととは別です。

人は知らないこと、不確実なことに対して不安を抱きます。未来のことでも予測がついていれば不安を抱かずに済みます。

私たちは皆既日食が何月何日の何時に起きるか知っていて、天体ショーとしてその日を楽しみにしています。しかし科学で解明される前は、皆既日食で太陽が消える現象を不吉な前兆、あるいは何かの祟りだと考え、神に祈り、場合によっては生贄を捧げていました。

身近なところでは毎日の天気予報も同じです。雨の予報が出ていれば、朝に家を出るとき晴れていても傘を持っていきます。そうやって未来に備えています。

迷信や予言を信じようということではなく、ある程度予測できる将来のこと(天気予報)は知っておいて、備えておこう(傘を持っていこう)という話です。


AIで仕事がなくなる!?

テクノロジー、特にAI(人工知能)の進歩はすさまじいものがあります。情報処理分野を中心に、すでに私たちの生活の中に普通に入り込んでいます。

さらに技術が進歩することで、2030年には今ある仕事の半数がAIにとってかわるという研究データがあります。

定型の事務処理を行う仕事やお店の店員、タクシー運転手などはなくなる可能性が高いと言われています。医師が行っている診断や治療法の検討はAIにとって代わる可能性高いと言われていますが、療養上の世話をする看護師はなくならないのではないかと言われています。介護士は微妙です。世話をする仕事はなくならない可能性が高いものの、直接的なお世話に付随する介護関連の仕事の一部はAIに置き換わる可能性が高いと言われています。


AIはケアプランを作れるのか?

介護に関するAIとして最も話題にあがるのが、ケアプラン作成です。ケアマネジャーの皆さんの中には、まだまだAIにはできないと言っている方がいますが、私は近い将来AIがケアプランの原案を作成することになると考えています。

そもそもケアプランはケアマネジャーのものではなく、ケアマネジャーがアセスメントに基づいて作成した原案を基に、本人と家族と話し合ってが決定していくものです。

自己決定を支えるためには、一つの原案プランよりいくつかの選択肢を提示した方が、本人も比較検討して判断しやすいと思います。

しかし、ケアマネジャーは業務が非常に多岐にわたりとても多忙です。ボツになるかもしれないケアプラン原案まで作成する余裕はありません。そこでAIを活用するのです。AIならば必要なアセスメント情報を入力すると、瞬時に複数のケアプラン原案を作成することができるでしょう。また自己学習を進めることによって、インフォーマルなサービスを含めた地域の社会資源まで組み込めるようになるかもしれません。ケアマネジャーよりもその人の暮らしに合わせたプランをAIが作成することは、可能だと思います。

すでにAIケアプランの研究は進んでいます。何年後になるか分かりませんが、かなりの確率で現実化するでしょう。学習能力で人間はAIにかないません。つまりベテランケアマネの情報量はAIの前では無力なのです。

したがって、いつまでもAIにケアプラン作成を任せるわけにいかない!と主張しているよりも、AI化に向けて今のうちから準備をした方が得策だと思います。

では、AIケアプランに備えてケアマネジャーは何をしたらいいでしょう。

この点はシンプルだと思っています。人間にしかできないことを極めればいいのです。

ケアプランの作成においては、アセスメント能力と、アセスメント情報を言語化、あるいは数値化する能力を磨くことが求められます。

アセスメントはAIやロボットがやるより、人間の方が上手にできると思います。本人や家族が話しやすい環境をつくり、言葉の奥を読み取り質問によって本当の想いへと深堀していく作業はとても繊細で複雑なため、当面は人間の方が優位です。

AIにどのような情報をインプットするかによって、作り出されるケアプランが変わります。その情報収集力と言語化力がケアマネジャーに求められるのです。


ケアプラン作成に限らず、介護業界にもAI化は確実に来ます。将来を見越して今から必要な能力を磨き、変化に対応した人が大きく飛躍することになると私は考えています。


立崎直樹



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