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ヨミマシタホン No.10

『推し、燃ゆ』by 宇佐見りん ( 河出書房新社 2020年 1,400円+tax )

いやはや、芥川賞受賞の報を受け、読んでみようと図書館にリクエストしたところ、待って待って待っててね〜の一年ホド待っててやっと順番が来たのでヨメマシタ。

どちらかと言うと短編になるのだろうかサラッと読んでしまえば、半日もかからないで読める量だと思う。一年待って、半日で読む。
まあそれはいいとして(よくよく考えると半日で読めるホンを一年待ったジブンがなんかいじらしくて・・・)、

読む途中で湧いてきた感慨はつい、ジブンでも書けるのではとついつい勘違いしてしまう、というモノだったが、それは本当に勘違いということをまあ今では知っている。

主人公は、いろんなことが不得意の女子高生で、推しがいることで生きている。そのことだけに一生懸命で、ほかがメタメタなのである。そのメタメタな部分は読んでて少しキツくなったこともあったがそれについては受け流した。

割と多いと思う、小説の終わらせ方で最後、突然糸の切れた凧が風に吹かれて空に登っていって・・・というような、ふいにここで訪れるエンディング。
地上に残されたニンゲンは、切れた糸のハシを握って呆然と凧が吹き流れていくのをただ目で追っている。どうしようもない。

これが結構ニガテで、「え終わりなの? ここで?」

小説は猫のように自由だな、気ままだな、気まぐれだなと思っている。こんな終わり方でいいのか、とときどきイカリを感じてしまうこともあるがでもまた懲りずに何故か読んでしまう。

でも今回、「え終わりなの?」とまた思ったのだけど、それはそれとして、それとは別の感覚が同時にあってそれは、水の無い深い井戸の底にいたのだけど、急に井戸の蓋がずらされて光が差してきて、というような感覚だった。
それって、知らぬ間に没入していた話が急に終わってびっくりしたってこと?

話は確かに進んで行くのと、残りのページ数が少なくなって行くので、終わりが近いのは明らかだったので、終わることにそんなに驚くこともないのだけど。
だからなのか、読み終わったあと、話が頭から抜けるのに少し時間がかかってしまった。

彼女の推しは推してなかったけど、彼女を推していたということなのか、気になった。何とか生きて行くのだよ。


ヘッダーの綿棒のイラストは、なるほどと思ったシーンと関係している。気になった方は読んでみてチョ。今なら図書館にリクエストしてもそんなに、と思ってチェックしてみたら、相変わらずの数であった。(およそ四百人弱のヒトが・・・このヨミマシタを書いた2月頃の某図書館のは)





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