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かる〜い読書:Unlimited 99円体験(精読、通読しない、パラパラ読み...も可)

この正月休みの間、Kindle Unlimitedで本を何冊か読みました。初めての利用です。アマゾンでアンリミテッドに登録すれば、指定されている本は0円で読めるという仕組みです。これまで利用したことがなかったのは、読みたい本はたいていUnlimitedになっていないので、使う意味がなかったから。

今回利用のきっかけなになったのは、たまたま島田雅彦の『楽しいナショナリズム』という本に出会ったら、それがUnlimitedで、へぇ、こういう本もあるんだ、と試してみる気になったのです。初回30日間無料というサービスもあったのですが、どんな具合かゆっくり試すために、2ヶ月間99円という年末年始キャンペーンのサブスクを選びました。期限後は1ヶ月980円だったかな。続ける予定は未定、今のところほぼなしの登録ですが*。
*この記事の書き始めが1月4日で、そこから10日以上たっている現在(14日)は、じょじょにUnlimitedに取り込まれつつあり。。。が、経過を順番に書いていきます。

年末年始キャンペーンで登録した直後、たまたまnoteで読んでいた記事に本の紹介があって、リンクからアマゾンに行ったら、それがUnlimitedだったという幸運が重なりました。さっそくその本を手に入れました。買おうと思っていたので、得した!という気分です。ひょっとしたら知らないだけで、Unlimitedは今、けっこうバラエティがあるのだろうか、と。

そのときDLしたのは『宮殿のアルファベット』というメソポタミアが舞台の、古代の歴史物語です。作者は伊井直行さんで、実はnoteの記事というのは作家自身のものでした。古代とも中東地域ともあまり縁のないわたしですが、これはちょっと面白そう、と400ページくらいの長編でしたが、年末を越えずにあっという間に読み終わりました。(アルファベットの発明に関わるお話)

この時点で最初にDLした『楽しいナショナリズム』は、まだ途中、読みかけのまま。終わりまで読むか、面白そうな章だけ読むか、未定。Unlimitedの場合、こういう読み方になる可能性はありそうです。

通読する本もあるけれど、パラパラ、あるいはざっと読むだけといった。

さらに最初の本をDLしたときに、「あなたにお薦め」として出てきたUnlimitedの本を何冊かライブラリに入れました。ほんとうに読むかどうか決めてない段階で、サンプルすら読まずに。どんな本かというと、『戦争は女の顔をしていない』『Web3とは何か』『会社員とは何者か?』『魂の退社』『ヴァラエティ』『いずれすべては海の中に』など小説、ノンフィクション取り混ぜて。ここには過去にAmazonで買ったことのある作家の本が含まれています。

これとは別に、知り合いの南スーダン人(アメリカ在住)から久々にメールをもらい、少し前に出た『Disturbed in Their Nests』という本が映画制作に入ったと聞かされ、それを(ライブラリに入れるのではなく、「今すぐ読む」で)クラウド上で開きました。アメリカの版元の本は、日本ではDLできないのでしょうか。(後で他の洋書をみたら出来ました)

この中で読み終わっているのは『宮殿の…』『魂の退社』で、『会社員とは何者か?』と『ヴァラエティ』は途上、『Disturbed in Their Nests』もパラパラと見ている状態。

会社員とは何者か? 会社員小説をめぐって』は、いま見たら、もうUnlimitedではなくなっていました。Kindle版で2508円になっています。タッチの差だったのか。これはなかなか興味深い本で、この本に刺激されて、文中で紹介されていた絲山秋子さんの『沖で待つ』を買ってしまいました(Kindle版、503円)。これは短編小説集ですぐに読了。Unlimitedの試用中に、そうではない本を買って読むのはどうなのか、などと一瞬思いましたが、それはそれ。興味をもったときに読むのが一番でしょう。正月休みで時間はたっぷりあったし。

会社あるいは会社員に関係する本(Unlimited 99円+503円=602円)

話がそれますが、『魂の退社』は元朝日新聞記者のアフロこと稲垣えみ子さんの会社または会社員についての話ですが、読んでいた『会社員とは何者か?』ともリンクする部分があり、交互に読んだりしていました。

こんな風に、気ままにあれこれ、あっちへこっちへと行ったり来たりして読むのも、Unlimitedモードならではなのか。ちょっと落ち着かない読み方のような気もします。読書のスタイルが変わってしまうかも。買った本の場合、終わりまで全部読まねば、という強迫観念のようなものが少しあって、もちろん途中で放置するものはあるとはいえ、Unlimitedほどの気楽さはないように思います。

Unlimitedは1冊ごとに支払いがなく、いくらでも読める(読み放題)という意味以外に、読み方にも「Unlimited=制約がない」とも受け取れます。

少し前に新潮クレスト・ブックスがKindleになっているのに感激して、『運命と復讐』というアメリカの長編小説を読みました。まったく未知の作家の本でしたが、ほぼ一気読みでした。つづけて『パチンコ』というやはりアメリカの(韓国系の)作家の長編小説上下巻をKindleで読んでいて、これもかなり短期間で精読しました。本の値段でいうと、前者が2600円、後者が上下巻で4800円。どちらも長編なので(紙の本で、前者が500ページ超え、後者が上下巻で700ページ)、この値段は妥当かなとは思います。ただしいくらページ数があっても、小説でこれ以上の価格は難しそう。3000円以上の小説本というのは、よほどでないと買えません。

海外の長編小説(2600円+2400円+2400円=7400円)

とはいえ、最近、本の価格は平均的に高くなっている気がします。必ずしも悪いことではないですが(本は紙束の値段じゃない、という意味で)。10年前だったら、小説やエッセイで1500円〜1800円くらいが限度だったかもしれず。まあ1000円前後なら気軽に買えるといった感じではなかったでしょうか。

現在は、2000円を超える小説やエッセイは普通です。わたしはあまり小説を読む方ではないのですが、『運命と復讐』『パチンコ』を2000円以上出して読んでいます。この値段あり得ない、とは思いませんでした。ここ数年の間に、本の値段の平均値は上がっていたのでしょう。

いまは本を買うとき、新刊の紙の本、電子書籍、古書と選択肢があります。Amazonでいうと、紙の本と電子書籍はほぼ同じ価格(少しだけ電子書籍が安い場合もある)、古書は特別な本を除けば1円(送料別)からあります。さらにKindleにはUnlimitedという借りて読むという選択肢も。

Unlimitedの場合は、読みたい本があるか、という点と、自分の所有にはならないので、サブスクを解除したらライブラリから本はなくなる、ということを良しとするかの問題があります。基本的に電子書籍は絶版にならないことを考えると、本を所有することは必須ではないかも。読みたい本があるかどうかは、大きな問題ですが。月額980円だったとしても、それ以外の読みたい本を毎月2、3冊、2500円で買っていたら、合計で結構な出費になってしまいます。

ただ毎月1冊でも読みたい本(980円以上)をUnlimitedで見つけられたら、損はしていないことになるのか。それはなりますね。

しかし。この「読みたい本」の基準(どれくらいの熱意や必要性があるか)というのは、購入する場合と、Unlimitedの場合では「査定」において差が出るかもしれません。

やはりUnlimitedでの読書というのは、通常とは違うモード、あるいはスタイルでの読書を想定すべきなのか。

あるいはUnlimitedで(かなり)読みたい本を2、3冊見つけたときには、その月限定で登録するとか? 登録したら忘れないうちにすぐ解除して。

でもこれは本来のUnlimitedの利用法ではないんでしょうね。

ところで葉っぱの坑夫ではKindle本を出していますが(絵本など除いてここ10年の本はほぼすべてKindle化している)、Unlimitedにしていません。なぜか。何度か試そうとはしたのですが、最終的にやめました。

最初の頃は、Unlimitedに登録されている本が、葉っぱの坑夫の出しているものとはかけ離れたものだったので、ここには読者はいないだろうと判断してのこと。次のときは、代理店の人から条件を聞いて検討した結果、あまり合わないかなと思ったから。

自分のところでUnlimitedにしてないのに、「あまり読みたい本がない」という不満を言うのか??? という声が聞こえてきそうですが。

が、しかし、今回いろいろUnlimited本を見ていて、売る側としても一度、試してみてもいいかなと思いはじめています。6ヶ月とか期限を設定できると思うので、順番に試してみるとか。岩波書店、講談社といった大手出版社や島田雅彦(Masatti)、伊井直行(レワニワ書房)といった作家が、自身のレーベルで参加するなど、バラエティは出てきているように感じました。

さて、この記事を書き始めてから時間がたち、いま現在は1月10日。この間にUnlimitedで読み終わった本、読み進んだ本、新たにDLした本、その中で読み終わりそうな本などが次々出てきています。

なんか、Unlimitedを思った以上に、いやいや利用しまくっています!

読み終わった本でいうと、奥田英朗の短編集『ヴァラエティ』、KIMIEという未知の著者の『田舎生活アメリカ移住日記』、稲垣えみ子『人生はどこでもドア:リヨンの14日間』。
『ヴァラエティ』は最後の短編「夏のアルバム」がとてもよかった。直木賞系では唯一読む作家ですが(山田詠美を除いて)、子どもの世界を書かせるとなかなかです。『田舎生活アメリカ…』は一般の人の体験記で試し読みの感覚だったけれど、読んでみるとそれなりの文才でアマゾンで著者フォロー、内容も面白かった。リヨン滞在記はこの書き手の良さが出ていて、標準には達してる。……とどれも軽めの本ではあるけれど、楽しめる内容でした。

で、思ったのは、楽しめる内容でした、であれば本として合格じゃないの、ということ。ただ購入してまでも読んだか、と言われれば、それはまた別。読み終えたからこそ、面白かったと言えるのですが。

楽しめる本であること以外に、では何が必要なのか、本を買う場合。読んでためになるとか、意味があるとか? ライブラリにとっておきたいとか?

そんなことを考えさせられながらのUnlimited 99円体験ですが、読書の仕方に少し変化が現れているのは確か。な気がする。

1月14日現在、新たにライブラリに入った本は、種村弘『世界音痴』、佐藤優『獄中記』、本間九介『朝鮮雑記』、『You Don't Know Viv.』(洋書)で現在読み途中の本が数冊という状態。

サッカーくじで大金を手にした女性の息子による評伝

いいのかな、こういう読書法。まだまだ考察はつづきます。

あと、そうだな、まず買うことのない雑誌(女性誌、ファッション誌)とか、女性男性etc.のヌード写真集とか、コミックとか、普段手に取ることのない本を残りの1ヶ月半で巡ってみようかと。また、海外のUnlimited本は少ししか見てないので、これも探索の価値がありそう。

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