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鬱病を感染された 6

6)あなたは一人じゃないのよ

「あなた!おきて!」
「目を覚まして!」
「どうしたの?」
「なにをしたの?」
「薬を大量に飲んだ」
「えっ!なんでそんなことを」
「もう、疲れた眠いんだ」
「しっかりして!」
「・・・・」
「救急車をよんだわ」

幸い致死量には達してなく一命を取り留めた。
病院で胃洗浄と点滴をして俺は家に帰された。
余談だが救急隊員が通報した女性がいないと
首を傾げていたらしい。
いったい誰が声を掛けてくれたんだろう。
誰が俺を助けてくれたんだろう。
その時はまだ知らなかった。

また診断書を会社に出して俺は休職した。
しばらくはトイレ以外ベッドで横になってすごしていた。ぼんやり考え事をする時間はたっぷりあった。
仕事の事
あいつの事
病気の事
本当は何も考えずゆっくりする事が大事だが
もやもや考え事をする日々が続いた。
特にあいつの事が気になっていた。
あいつは死んで俺は生きている。
申し訳ないという気持ちより、恨まれるのではないかという恐怖心が大きかった。
外に出ることも出来ないし、夜も良く眠れなかった。

それでも定期的に通院して薬を処方して貰う必要があった。大量服薬した俺は少量しか処方して貰えず頻繁に病院に行かなければならなかった。
そこで俺は信じられない光景に出くわす。

あいつが病院の前に立っていた。


つづく(6/53毎週日曜日18:00更新)

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