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何度でも読み返したいnote1

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何度でも読み返したいnoteの備忘録です。 100作品たまったので、何度でも読み返したいnote2を作りました。
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2021年10月の記事一覧

ヒーローのヒーロー

初めて、ヒーローになりたいと思った。 小学1年生の時。 ピンチの時にかけつけてカッコよく敵をやっつける、漫画に出てくるような正義のヒーロー。 強いだけじゃない。優しくて、前向きで、一瞬で周りの空気を明るくしてしまうような人。 その存在を思い出すだけで勇気が湧いてくるような、太陽みたいな人。 男性的なイメージが強いけれど、そんなの関係ない。 女だって、ヒーローになりたい。 私が本気でそう思うようになったのは、彼女との出会いがきっかけだった。 いつだって、君のヒーローでい

“小さな恋の物語”を目の当たりにし、前のめりになった話

今、小2の娘が小学1年生だった頃の話。 よく一緒に下校している男の子がいた。 誰と帰ってきたん?と聞くと、「さとしくん(仮名)やで」と登場する頻度が非常に高かった。 今のご時勢なので参観などもなく、クラスの子の顔も全くわからない。その子と家もそこまで近くないようなのだが、仲良くしているんだな、くらいに思っていた。 「今日は帰りに一緒に漫才しててん」と言っていた日もあった。 「何それ、めっちゃ可愛いやん。どんな内容なん?」と聞くと、「どうも~〇〇〇(娘の名前)でーす!

梅干しの気持ちを考えた。

夏が過ぎ、梅干したちの肩の荷が下りる季節がやってきた。 初夏の風を感じた頃からかれこれ半年。我が家のお弁当やおにぎりに梅干しの入らない日はなかった。 梅干しはすごい。 本当にものを腐らせない。 防腐剤と違って食べたらおいしいし保存がきくし色もいい。(防腐剤が食べたらまずいかどうかはわからない) もう呼び捨てにはできない。梅干しさんだ。 生まれ変わるなら梅干しさんになりたいくらい、ブランディングが完璧だ。 お弁当箱の救世主として確固たる地位を築いている。2位の酢を

平日日記 植物万能薬

ソフォラリトルベイビーという小さい木が、毎日葉をハラハラ落とす。リスザルの小指の爪みたいな、小さな小さな葉だ。落ちた葉を卓上ちりとりで取っては捨て、また葉が落ちては捨てを繰り返している。こんなに葉が落ちているのに、なぜか葉は生い茂っている。わたしが知らないあいだに新しい葉が出ては、古い葉と入れ替わっているのだろう。人間の細胞みたいに。 ひと月前には、葉ダニにやられて萎れていたけれど、四方八方に枝を伸ばし、絡まり合い、元気いっぱいの姿を見せてくれている。枝から緑の突起がにゅる

忘れな草と、母のおもかげ

40歳を過ぎて、自分がだんだん母に似てきたなぁと思います。 こないだ、ふとショーウィンドウに映る自分を見て、どきっとしたんです。ガラスの向こうに、しばらく会っていない母がぼんやりと立っていました。 見た目だけでなくて、行動も似てきたような気がします。 新しいものに対して消極的だし、大きな声では言えないけれど、いまだに電話はガラケーです。それに、思い切りドアを閉めて手を挟んだり、冷蔵庫の前で何をしようとしたのか忘れて「あれっ?」と立ちつくしたり。 これって母がよくしてい