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梅干しの気持ちを考えた。

夏が過ぎ、梅干したちの肩の荷が下りる季節がやってきた。

初夏の風を感じた頃からかれこれ半年。我が家のお弁当やおにぎりに梅干しの入らない日はなかった。

梅干しはすごい。

本当にものを腐らせない。

防腐剤と違って食べたらおいしいし保存がきくし色もいい。(防腐剤が食べたらまずいかどうかはわからない)

もう呼び捨てにはできない。梅干しさんだ。

生まれ変わるなら梅干しさんになりたいくらい、ブランディングが完璧だ。

お弁当箱の救世主として確固たる地位を築いている。2位の酢を大きく引き離して1位の座に君臨し続けている。モバイル性に優れ、外国で日本のことを思い出す時に食べたいものランキングたぶんナンバー1である。昔は薬としても使われていたほど健康にもよい。梅干しのポテンシャルすごいな。

なんか・・・もう梅干しさんの商売したほうがいいんじゃないかな私。プリンとか言ってる場合じゃないんじゃないかな。もっとおばあちゃんになったら「プリンいかがですか」って言うより「梅干しさんいかがですか」のほうが説得力ありそうだし。
みたかの小さな梅干し屋さん……悪くない。

・・・・・・

でもですね。

梅としては自分のそういう立ち位置が嬉しいかどうかは疑問ですよね。

日本人は梅干しさんにこんなに頼っていながら、桜をえこひいきしている疑いが濃厚です。

俳句では花と言えば桜ですしね。

桜は実がなったら「んぼ」を付けて「さくらんぼ」と呼ばれて可愛いものの象徴とされてプリンやソーダに乗せられてインスタにアップされまくります。梅なんか酸っぱいものやおばあさんの象徴なのに・・・。

さくらんぼはあげくの果てYUIに“CHE.R.RY“という可愛い恋の歌にしてもらって大ヒットして。

ねえ考えてみて下さい。梅の歌って・・・あります?!

(絶対ないだろというテンションで書いてたのに、調べたらアイドルグループ私立恵比寿中学が「梅」というタイトルの曲歌ってました。作詞作曲は前山田健一…さすがヒャダイン)

かつては梅がもっとちやほやされていた時代もありました。

奈良時代には花といえば梅の花、花見といえば梅の花見だったらしいですね。平安になって桜の花見ブームが来て、さらに江戸末期にソメイヨシノが生み出されて完全に花といえば桜になってしまいました。

悔しいよね、梅! 
ねえ桜、あんたちょっと人気あるからって調子乗ってんじゃない? 
さくらんぼじゃ、おにぎりの具になれっこないよ!!

でももしかしてそういう梅の悔しい気持ちが梅干しにあれほどの殺菌能力を与えたのかもしれないと思えないこともありません。私たち自身の桜へのえこひいきが梅干しにそんなにすごい力を与えていたとは。

これからしばらくは寒い時期がつづいて、梅干しの出番がやや減ります。来年また梅の花が咲くころこの問題について考え直したいと思います。

それまで梅干しさん、少しゆっくりお休みください・・・


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