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何度でも読み返したいnote2

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何度でも読み返したいnoteの備忘録です。こちらの2も記事が100本集まったので、3を作りました。
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#思い出

あの夏の、

忘れられない、夏がある。今でも時々ふと思い出して、ああ楽しかったなって顔がほころぶ、そんなひと夏の思い出。前にもnoteに書いたかもしれないけど、今日またふと思い出して、ふわふわと幸せな気持ちになったから書き残しておこうと思う。 大学3年生の夏、ホテルのビアガーデンでアルバイトをしていた。仕事自体は楽ではなかったけど、とても楽しかった。時間いっぱい客席を駆け回ってビールを運ぶ。季節限定のイベントを従業員もお客さんも、みんな一緒に楽しんでいるという印象で、みんな仲が良いという

涙の代わりに飲み干してた缶ビールを喜びに変えようじゃあないの

いつかの旅行帰り、座った新幹線が3人席だった。 私と夫と、窓際には出張帰りのような方。 旅の余韻に浸りながらあれが美味しかったこれが面白かったと話していると、出発から程なくして隣の方に声をかけられた。 「あのすみません」 「はい、どうされました?」 するとその方はスッ、と懐から買ったばかりであろうご当地缶ビールを出して一言。 「これ、やらしてもらっていいですか。」 あまりにキッパリとした潔さ! 私も夫も最高の気持ちになってしまった。 思わず笑顔で「どうぞ〜!」としか言え

女子高生の私が同級生と学生結婚した話

数学や英語、古典といった勉強が大嫌いな私にとって、副教科は学校生活において最高の気分転換だった。 そもそも副教科のほとんどは美術で占められていた為、3年生にしてようやく始まった家庭科の授業はクラス中が楽しみにしていた。 家庭科の先生は笑顔のかわいい温和な女性で、私は彼女のことをすぐ好きになった。 家庭科室に集められた私たちに先生は言った。 「今からみなさんには結婚をしてもらいます」 皆が口を開けぽかんとしている様子を楽しみながら彼女は続けた。 「クラスでこの人となら

【エッセイ】人に愛される才能を持った君だから

このところリサーチに余念がない。 甥っ子2号が就職することになり、お祝いの品を探しているからだ。 今日も行きつけの美容院で聞いてみた。アシスタントの男の子は20歳で2号と歳も近い。 「うーん、スケボーがほしいっすね」 「ごめん、スケボー以外で」 スケボーを馬鹿にしてるわけじゃない。むしろめちゃくちゃカッコいいと思う。ただ甥っ子2号はとんでもなくどんくさい。小学校の運動会で大車輪のように転んだのを私は今も覚えている。 何をするのも遅かった。走れば転ぶ。ゲームをすれば負ける、も

ピカピカの床

休み明けに、いつもと変わらず汚れのないオフィスの廊下を歩く。自分の部屋のドアを開けて、目を見張った。床がピカピカに光っていた。 ワックスしたばかりの床を、廊下やほかの部屋でも見たことはある。でも、その時は、私の部屋だけ。 フルタイムで仕事に戻った年だった。 笑顔にさせてくれた人は、清掃員のMさんだとすぐわかった。 夕方からフロアの掃除を始めるMさん。見たことがない道具も、掃除用のカートにあった。工夫ぶりがおもしろく、時々言葉を交わした。クリスマスで、私は休みになった。