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物を手放して、過去にしばられている自分を変える

私は自分の持っている物になんらかの思い出があると、大切な物ではなくても、なかなか捨てられない。
そして、その物がいつも視界に入る暮らしをしながら、過去のことを考えてばかりいる。それを捨てても、思い出が消えるわけではないのに。
思い出を大切にしているというよりは、気持ちが切り替えられないだけかもしれない。もうその頃の生活には戻れないのに、過去のことを何年も考え続ける。

最近、そういうのはもう止めよう、と思うようになった。


自分の暮らしと気持ちを少し新しくするために、近いうちに思い入れのあるスーツケースを捨てることにした。
そのスーツケースを持って、何回飛行機に乗っただろう。シールがたくさん貼られている。所々、傷もある。その使い古した感じが気に入っていた。

かなり大きいサイズのスーツケース。今は衣装ケース代わりで、季節ごとに着ない洋服を詰め込んでいる。衣替えの時と、たまに風を通すために開ける以外、クローゼットの中にある。
たぶん、今後しばらく、スーツケースとしては活躍しない。また海外旅行をする日が来ても、こんなに大きなスーツケースは必要ない。

気軽に何度も海外に行っていた頃のアクティブな自分には戻れそうもない。今は、その頃の生活に戻りたいとも思わない。

生活が変化し、うちの中や近所の公園に、お気に入りのものや美しいものをたくさん見つけた。海外に行かなくても、幸せな気持ちを感じられるようになった。
海外に行くより、うちで一人、心穏やかに過ごすことに目を向けるようになった自分には、大きなスーツケースは必要ない。

これは、過去の自分にさよならするのではない。思い出にお別れするわけでもない。
過去の自分と今の自分を比較して、自ら何ともいえない気持ちに陥ってメソメソしている、今の自分にばいばいするため。

チェストを買った。
服は新しいチェストに入れて、スーツケースは捨てる。
物を捨てたって、思い出は消えない。
ゴールデンウィークに届く予定のチェスト。きっと、新しい生活と新しい自分が待っている。

旅の思い出 アンコールワットと朝焼け


私がいつも食事をする時に使っているローテーブルは、亡くなった家族が使っていたもの。
実は、色も大きさも、あまり好きではない。もう古いし、テーブルの表面は一部、変色している。

自分好みの使いやすいものに買い替えたいとも思った。だけど、他界した家族がこのテーブルを使っていたという理由だけで、捨てられない。
このままだと、どんなに劣化しても、いつまでも使っていそうだ。

私自身は、特に愛着がなかったテーブル。
このテーブルを使い続けたら、何か良いことがあるだろうか。捨てると、何か他の大事なものも失うだろうか。
家族の思い出が消えるわけではない。


何年もグリーフを抱えている状態が悪いことではないだろうけど、私は最近、自然と、新しい自分になりたくなってきた。
スーツケースもテーブルも、自然と手放すことを考えるようになったのだから、きっと、暮らしを整える時が来た。
自分で選んでこれからの自分の人生を歩んでいく、そんな気持ちの切り替えができる時が来た。

ものを手放したところで、思い出も失うわけではない。
旅の思い出や家族の後ろ姿は、ちゃんと頭と心に残っている。

インテリアを買い替えて、自分のこころもリセットする計画。
私自身の、これからの暮らしと心を整える。

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