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フルリモートワークを5年続けてわかった、世間のイメージとのギャップ

病院勤務から転職し、外資ベンチャー→日系ベンチャーと勤めてきて、途中コロナ禍にも見舞われながらなんだかんだフルリモート生活5年目となった。

「リモートワーク」 「テレワーク」 「在宅可」

などのワードが転職サイトでも人気の検索ワードになっている昨今。

リモートワークの世間でのイメージは、「楽」「自分の時間が確保できる」「子育てと両立できる」「合間に家事できる」「ゆっくり時間が流れる」

こんな感じだろうか。

少なくとも5年前、リモートワークをし始める前の私はそんなイメージを持っていたし、周りからも「内職?」とか「それ仕事してるって言えるの?」と批判されたこともあった。

しかし、小さい子どものいる核家族主婦だった私が実際に行ってみて、想像より遥かに大変であると言い切れる。
やってみたからわかる、意外な落とし穴もあるので、紹介していく。


リモートワークのイメージとギャップ

まず、リモートワークのイメージは下記のようなものだろう

  • 通勤なくて楽

  • 通勤時間がない分、自分のことに時間を使える

  • 時間を効率的に使える

  • 心地よい勤務環境を整えられる

  • お弁当がいらない

  • 合間に家事ができる


正直、どれも「その通り」である

は?と思った方も多いと思うが、その通りなのである。
通勤時間はないし、移動に費やしていた片道30分の使い道は自由。
自分が望めば最高級のデスクやPC周りの環境を整えることもできる。
職場でのランチを朝の忙しい時間に心配しなくていいし、合間に家事を行うこともできるのだ。


しかしそれは本当に「楽」なのかというと、必ずしもそうではない


リモートワークの実際

通勤がないのは楽!?

通勤がないのは確かに楽である。
しかしその分全く歩かない。「普通に」生活をしていると重度の運動不足になる。
1日日の平均歩数は1000歩程度。どんどん筋力が弱り、休日の外出で走ってもいないのに息切れがする。
まずい、と思って仕事の合間に始めたヨガや踏み台昇降は、自分の意志だけでは続けられず3日でやめる。人の目がないと続けられないのねと気づき、パーソナルトレーニングを契約し、月数万円がいなくなる。トレーニングまでの通勤手当は誰も出してくれない。

通勤がないことの代償を補うには、運動する時間を見つけ、強い意志で続けるか、お金で解決するしかない。

通勤時間がない分、自分のことに時間を使える!?

通勤時間の分、自分の時間にできるも正解である。
往復1時間運転していた人ならば、1時間も時間ができる。

その1時間をさも有意義に過ごそうとすると、人間は何をするか。
それは仕事である。

今まで通勤時間に使っていた時間を使って、少しでも仕事を進めたいと思ってしまうのだ。
「早く始めれば早く終わるかもしれない。」
そんな気持ちでPCに向かい始め、気づけは退勤時間。
でも自分には通勤時間の30分がまだ猶予として残っているので、その帰宅に要していた時間までもを使ってメンバーにチャットを返したり、顧客へのメールや資料作りに時間を使ってしまうのだ。
それも明日の自分のため。最優先事項なのである。


家事を合間にするなど、時間を効率的に使える!?

ずっと家にいるのだから、当然家事を隙間時間にパパッと行っているとお思いであろう。
それに関しては、できないとは言えない。

洗濯やご飯を炊くなど、どうしても日々行わなければいけないものはあるので、それは朝や夜に片付ける。

しかし世間がリモートワークに期待している「家事ができる」は
常に家の中が片付いて掃除されている状態で、仕事の合間にスーパーに買い物に行けて、ついでに銀行や市役所などの用事も全部済ませて、ちょっとした時間に子どものための手作りの何かを作り、いつも滞りなく家の中が回る状態を保てる
ではなかろうか。

はっきりいうが無理である。

仕事の場が自宅になっただけで、仕事の量は変わらないかむしろテキストコミュニケーションになった影響で増えている。
いきなり魔法のように時間がゆっくり流れる素敵空間になるわけではない。

むしろ、目の前に山積している「家事」に手をつけられないもどかしさを感じながら、もうすぐ帰ってくる家族ががっかりしないように急いで目に見える範囲を片付け、ゴミを追い払い、米粒を大量にこぼしながら米とぎをして、「耳だけ入ります」とか言いながらチームMTGに参加しつつ子どもの習い事の送り迎えをする。


つまり、リモートワークは自宅でできるが故、寸暇を惜しんで働くスタイルが出来上がってしまうのだ。
家のことも仕事も、同時多発的にこなさなければいけない。周りもそれを期待するし、できてしまうのだ。


心地よい勤務環境が整えられる!?

これは人により意見が分かれるところだと思う。
エンジニア系の職業の方であれば、自分の稼動しやすいマシンを使いたいだろうし、インテリアにこだわっている人であれば自宅の好きな環境下で長時間過ごせるので良いかもしれない。

私のようなしがない主婦は、あらゆることに対応できるように基本的にリビングが職場になる。
するとどうだろう、朝から晩まで、ずっっっっっとリビングにいるのだ。
同じ部屋でほぼ動かず13インチのノートパソコンと向き合っている
オンラインミーティングの背景が突然剥がれて部屋の風景が映らないことを祈りながら、突然の宅配便にも対応できるように自室ではなくリビングで仕事をするのだ。
家にいるのに受け取れないわけがないと、家族が時間指定なしで頼んでしまった品物を確実に受け取ったり、トイレに行くついでに給湯器のボタンを押すにはリビングがちょうどいいのである。


お弁当がいらない!?

これはその通りである。
家にある残り物を適当にチンして食べれば良いし、休憩をとっているのかとっていないのかも会社の人はわからないので、食べていなくても心配されない。
ミーティングばかりで食べる時間がないこともあるが、たいてい何か流し込んで済ませるのである。

おわりに

さて、ここまで読んでいかがであろう?
リモートワークは決して優雅なものではない。
今まで職場と家庭という二分されていた日々の戦いの場が、1箇所に集まっただけなのである。

人により状況は様々である。
既婚、未婚、子あり、子なし、一人暮らし、家族と住んでいるか、家族の理解があるかなど

それぞれがそれぞれに思うこともあると思うが、決して楽なことばかりではないのが現状であろう。

時間管理能力と自分を律する自制心を持ち、「子どもが◯歳になるまで」といったリモートワーク環境に身を置く理由を明確に持っていれば、より快適な環境として過ごせるかもしれない。

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