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アドリブ研 : "But Not for Me" (5)

1: 曲について
2: Iさん(flute)作例
3: Nさん(guitar)作例
4: Kさん(trombone) 作例
5: 私(trombone) 作例    ←Now

But Not for Me回目次

最後にお恥ずかしながら私の作例です。

半熟作

Fig. 1a "But Not" by 半熟(G clef)
Fig. 1b "But Not" by 半熟(F clef)

Notion iPadの音源です。

一見してわかるかと思いますが、冒頭1小節目のモチーフを引っ張って展開させています。
4段目くらいになってやっとジャズのフレーズっぽいものがでてきました。

Cパート3-4小節目は|Ebmaj7-D7|Db7-C7|というリハモを想定してフレーズを組んでいます。これはオブリガートでもよくやる手法で、岡山のピアニスト山本さんと話しててヒントをいただいた記憶があります。
3-6-2-5の前に7をおくと、1→7でちょうど円環状につながり、
1→7→b7→6と半音進行ができる。これは他の曲でも応用できそうです。

もちろんフレージングとしては上行、下行で組んでもかまいません。技術的に難しければ、コードトーンを2拍ずつ伸ばしてもいいし、(G→#F→F→Cとか)7thコードのかわりにdiminishやaugumentのTriadを用いる。いわゆるメカニカルなフレーズの手癖を外挿してもいい。どうせ半音で降りる練習とかしてっしょ?

Fig. 2 Eb D Db C

Cパート6小節目は、F7→E7→Ebという流れを想定しています。Green Dolphinの二段目に似ていますね。Bbの代理コードとしてE7を採用。
Bb alt7としてもいいのかもしれません。スケールの話は好きではありませんが敢えていうならE Lydian 7thとなります。
前述のとあわせて、F7→E7→Eb7→D7→Db7→C7という7thコード滑り台を作ることもできますが、ここまでできるのは、楽器の特性上半音のフレージングにストレスがないギターとかに限られるのかなあとは思います。

ところでセカンダリードミナントの吹き方です。
同じモチーフで、F7→Fmという A→Abという構成音の違いを生かすパターンがまずありますね。SD→SDMとは少し違いますが、フレーズのあり方として応用はできそうです。
あとは、普通にツーファイブリックのパターン。
F7のところで何を吹くかというと、Cm7-F7つまりBbの短いツーファイブリックがハマる。F7 E7の場合は、Bbのツーファイブ(Cm7-F7)ーAのツーファイブ(Bm7 E7)と半音おりればいい。
ショートリックの半音つなげみたいなものがまあ、便利と言えば便利。
もちろん半音ではなく、Bbの短い2-5、Ebの短い2-5もOK。この場合は音域が五度変わるので、つなげやすい別の2-5同士を連結させて手癖にしてもいいかもしれません。

Fig.3 半音のツーファイブ

Dパート5-6小節目は 半音上の "Honeysucle rose"(フレーズ(2) Iさん作例参照)、から半音下に降りて少しリズムに変化をもたせました。
この場合は、|F#m7-B7 | Fm7-Bb7|というコードを想定して吹いています。
これもF7の代理コードがB7なんで違和感なくハマります。

半音進行一つとっても、いろんなバリエーションがとれるわけです。
そもそもドミナント進行と半音進行が等価であるから、こういったシンプルなコード進行であれば、本当にさまざまなやり口を試せる。

ただし、半音を使い出すといわゆるダイアトニック(調性ドレミ)の世界からは大きく離れていきます。譜面でも臨時記号つきまくりになる。
移調にストレスのない、ギターの方にとってはジャズ研2年レベルだと思いますが、他の楽器だと、もうちょっと上の学年の話になってはきます。が、こういうフレージングをさらっとだすためにも、リックをAny Keyで練習する意味はある、というわけです。

まとめ

今回は四人の作例を研究してみました。
それぞれ各人の楽器の特性、それからアマチュアでいう初学者〜中級者のソロの作り方を垣間見ることができて有意義だったと思います。
実は私にとって一番勉強になったかもしれません。




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