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それでも、ごはんを食べる。

ごはんを食べるのは難しい、と思う。

もともと、自分はあんまり食べることにこだわらないタイプ、だと思っている。
昔一緒に働いていた人が「今日の晩ごはんを何にするか考えることで自分を励ましている」と言っていたり、
実兄が「朝、途中の駅でカレーを食べたいから早く家を出る」と言うのを聞いたりすると
わたしには、その食への執着はないなあ、と思ってしまう。
あの人と働いていたときのわたしは、セブンイレブンで豆腐とおにぎり、パスタサラダと冷凍餃子だけをローテーションしていたし、
朝ごはんのために早く起きられたことは、一度もない。

「なにか食べたいものはありますか?」と聞かれるのも、いつも困ってしまう。
同居人はどんどん料理の腕を上げ、わたしが想像できるような料理は、だいたい家で食べれるようになってしまった。


そして、ごはんを食べると眠くなる。

腹八分目を理解していないからだ、と思っていたけれど
量を減らしたお弁当だって
友達と半分にわけて食べるウーバーイーツの晩ごはんだって
やっぱり食べると、眠くなってしまう。

にんげんってそういう生き物なんだ。
そういうふうにできている、と誰かが言っていたのを覚えている。

だから、集中しているときには、あんまり食べたくない。
それでも何か、と思うときは、常備しているゼリーをつまむ。


それでも、わたしはごはんを食べる。

おなかが空いているような気がして、ごはんを食べる。
食べ過ぎかもしれないけど、食べる。

ごはんを食べると、たしかに満たされる。
ふうっと深く、息をつけるような気がする。
そうして眠くなってしまう流れなんか、もう想像に難くない。
ああ、ごはん食べて眠くなっちゃったな、と思う。
このあともやりたいことがあったのに、と。
やらなきゃいけないこと以外のすべてを、わたしは放り出してしまう。

それでもやっぱり、ごはんを食べて
いちにちに何度か、わたしは満たされてゆく。

ごはんは難しい、
だけどやさしい。

おなかが空いていることと、寒いことは
わたしの意志とは関係なく、わたしから何かを奪ってゆく。
そのことを、きちんと知っている。


だから今日もわたしは、きちんとごはんを食べることにする。





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