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結末

目的地に着いて安堵した。
夢の中で

間に合わない、と思っていた。
夢の中で

わたしは怒っていた。
ほんとうは怒りっぽいひとなのだ、と思っている。
だから、怒らないように、と気持ちをなだめながら暮らしている。
些細なことは飲み込むか、蹴り飛ばすかして。
大切なときに、きちんと牙を向けるように。

間に合わない、という事態で怒ってしまうのは本意ではないけれど
これは夢で
これは本当のわたし、なんだろう。
すなおなわたし。
いつだって苛立っていた。
理想の自分は、時間までに目的地に着いて一服していたかったんだ。

怒って、慌てて
わけのわからない近道をしようとして、また迷った。

ああ、ほんとうに
ほんとうの、わたしみたいだ。

わたしは道行く人に尋ねた。
行き方を教えて欲しいと伝えた。
怒っていたのに、すなおに人に頼れたなんでびっくりだ。
なかなか、賢い選択だった。

そうして、最後には間に合った。
そういう夢だった。

だいたい夢だと、嫌な気分のまま目覚める。
どうせ間に合わない。
わたしは気がかりを消化できずに、重たい身体で目覚めるというのに。
その日は珍しく、すっきりしていた。

たぶん、物語をどこで区切るのか、という話のような気がしている。
途中で目覚めたら「嫌な夢」だったから、
最後まで諦めなければ「終わりよければすべて良し」になる可能性もあって。
事実とか感傷とか感情とか、そういうものなのかもしれない。
どこを結末にするのか。
どの時点を物語をするのか。

「途中で起きなくて、よかった」

わたしは大きく、伸びをした。




※今日のBGM


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