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あなたに手紙を書いたのは

あなたに手紙を書いたのは、
あなたを思い出したからです。

ひとりで部屋にいても、歩いていても
あなたの気配は、ふいに訪れて
おかげでわたしは、希望の淵を歩けているのだ、と思います。

ときには落下して、もう終わりだ、と思うようなこともありますが
落ちた先の、か細すぎる平均台のような足場でも、どこか懐かしい風が吹いている。
ということに、最後には気づいてしまうのです。
絶望しきれないのは、あなたと越えた夜が、いまでもわたしを後押ししてくれているからでしょう。
あのときも、なんとかなった、ということが
魔法のように、呪いのように

ワンピースを着よう、と思ったことには、いくつか理由があります。

季節が移り変わって、着るものがなくなった(ような気がした)とか
最初は行くだけで大変だった病院も、週1度も通えば慣れたもので、「好きな服を着る」というたのしいイベントに切り替えてもいいんじゃないか、とか
新しいブーツには、ワンピースが似合うような気がした、とか
ささいなことが積み重なって、とにかくいろいろです。

ずぼらなわたしは、手持ちのワンピースをすべて、ハンガーラックに引っ掛けているのですが、久々に見つめてみて驚きました。
自分で買ったものが、ほとんどないのです。
そういえば去年は、Tシャツしか買っていなかったような気がします。
その前のことは、覚えていません。
着る機会の減ったワンピースを買わなくなったのは自然なことで、手持ちのほとんどが、友人から譲ってもらったものでした。

おさがり、というのはあたたかい記憶です。
あなたとわたしの見た目はほとんど似ていない、というのに、「わかる」と思ってしまう。
あなたが着ていても
わたしが着てみても
なんだか、しっくりくるような気がして不思議です。

花柄が多いのは、
わたしが花柄を愛しているのを知ってのことでしょうし、
たぶんあなたも、愛しているのだと思います。
わたしたちは友人ですから、似ているところも、似ていないところもきちんと持ち合わせているのです。

ワンピースと新しいブーツで、わたしはずいぶん勇ましく歩きました。
そして今日、着ていたワンピースを洗濯して
部屋に干して見れば、「やっぱりかわいいなあ」と、満ち足りた気持ちになって

やっぱり、あなたを思い出すのです。





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