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あなたと過ごした810日

点くはずのないマークに、わたしは首を傾げる。
このマークは「頑張ったご褒美」で点くやつだから、ログインしただけでは点かないはず。

通算ログイン810日を達成する

お知らせの内容はこれだった。

30回ログインするだけでもらえるボーナス。
ときどきサボってしまう日とか、時期もあるけれど、だいたい1ヶ月に1度のご褒美。
そうかそうか、今月もそんな時期か。
今回は何がもらえるかな〜とにやにやしてしまう。

思い出したのは突然だった。
唐突に気づいた、とも言える。

810日
それは、2年以上の月日がたっぷりと流れたことを意味する。

そしてわたしは覚えている。
このゲームを始める、少し前のこと。

友達と、友達の知り合いの3人で食事に行ったときのことだった。
わたしには分不相応なランチをご馳走していただけるとのことで、緊張していた。
友達もたぶん、緊張していた。
順番にお料理が出てくるタイプで、話す時間はたっぷりとあって、気まずいわけじゃないけれど、少しずつ話題を探していた。

そして、友達がやっているゲームの話になった。
知り合いもやっている、と言って、わいわいとおしゃべりをしたことを、今でも覚えている。
話題の、スマホアプリのゲーム。

「いいなあ」とわたしはつぶやいた。
たのしそうで、ずいぶんすこやかで、羨ましかった。

「やってみればいいじゃん」
むしろやろうよ!と友達は言った。

「でもわたし、そういうのやると、ハマりすぎて何も考えられなくなっちゃうからなあ」
怖いんだよ、と小さく笑った。

このときの「楽しそうな感じ」は、そのあと長らくわたしの心臓をぎゅっと締めた。
羨ましくて。

わたしの持っているスマホでもできるのに、わたしはなぜだか「できない」と思っていて
わたしには無理だ、と決めつけていた。
ゲームだって、一生懸命やるから楽しいのであって、それには時間も労力も掛かる。
楽しいはずなのに、なんだか紙一重。負けたら悔しいし。

ああでも、やっぱり羨ましいなあ。
やってみようかなあ。

よし、やってみるか。
と思って始めたのが、今のゲームだった。

友達がやっているゲームか、同居人がやっているゲームか悩みに悩んで、同居人がやっているゲームに決めた。
元になっているアニメもすごく好きで、わたしはやっぱり、ベルくんと旅をしたかった。

それから、810日と少し。

始めた直後に2周年の特別イベントが始まって、あまりにもすてきな話で泣いた。
3周年も、4周年も泣いた。
わたしはベルくんとたくさん冒険をして、色んなことを教えてもらった。
大きなイベントが始まる前にはわくわくして、カレンダーに日程を書き込んだりもした。

810日のあいだ
わたしは、あまりにもしあわせだった。

「ベルくんのことしか考えられない」というときも確かにあったし、
ログインすら面倒になってしまうときも、もちろんあった。
一生懸命頑張っているはずなのに、新規のユーザーにぼろぼろに負けて、本気で泣いたりしもした。

「次の冒険までは生き延びる」
涙を浮かべながら、そう思ったことも忘れない。

感情はずいぶん忙しなく、小さないことでも、わかりきったことでも落ち込んだりしたけれど
次の物語を読み切るまでは死ねない、と何度も思った。
そのことに支えられて、すこやかさを保ってきた。断言できる。

810日前のわたし、ありがとう。
「やってみよう」と思ってくれて、ありがとう。

最初はシステムを理解することに苦労して、「めんどくさいな」って思ったこともあったし、
頑張っても全然強くならないじゃないか、と嘆いたこともあったけれど。

あなたが踏ん張ってくれたお蔭で、
わたしはいま、確固たるしあわせを抱えながら、生きているんだよ。





ありがとうダンまち、ありがとうベルくん




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