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夜中にひとり、さめざめと泣いたとしても

今日はどうしてもやる気が出なくて
言葉を紡ぐのも億劫で
ピアノでも弾こうと思ったら、パソコンから音が出なくて
ああ、そういえば照明のリモコンも見つからない。

ああ、今日に限って
と、思うけれど
そのたびに、ユーミンの声がする。

今日に限って、安いサンダルを履いてた

松任谷由実“DESTINY”

おとなになって、ユーミンの歌詞はよく染みる。
今日に限って履いてた安いサンダル姿で、むかしの男に会ってしまった、その“たまんねぇ”気持ちも、結構リアルに想像できる気がする。
少なくとも、友達がそんな目にあったら、肩を叩くか、親しみを込めて爆笑してやる。

だから、今ならわかる。

安いサンダルを、捨てなかったわたしが悪い。
捨てさえしていれば
いつもきちんと着飾っていれば
こんな思いにならなかったのだから。
嘘は容易く、見抜かれてしまうように。
安いサンダルを履く自分を捨てられなかったし、たぶん捨てるべきではなかった。
それでいいのだと思う。

人生で初めて自分で買ったパソコン、iMacは今年15歳になる。
なぜだか壊れないし、わたしの頭の中で想定できるようなことはまだ形にできるので、使っている。
でもこうして、時折ごねて、動きが遅くなるのだから、買い換えればよかった。
もう、これは買い替えなかったわたしのせい。
「今日に限って」じゃなくて
照明のリモコンだって、置き場所を決めなかったわたしのせい。3日前にも失くしている


それは取り立てて悲観するようなことでもなく
「じゃあ、仕方がないよね」って笑えるのが
わたしの憧れていた、おとなの女なのかもしれない。



(夜中にひとり、さめざめと泣いたとしても)


 

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