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元気がないときの、スプーン

ごはんを食べることが、あんまり得意じゃない、と思う。

たぶん、そうなのだと思う。
食べないと死ぬから食べるのだけれど
食べれば美味しい、と思えることのほうが多いし
大好きな友だちと食べるごはんは、いつでも最高に美味しいと思う。

でも、ちょっとバランスを崩すと
食べるより眠りたいなあ、と思うし
食べることが面倒だなあ、と思ってしまう。
一生、こんにゃくゼリーだけでいい、と定期的に思う。


それでも、我が家では食べることが推奨されている。
食べることは、生きることで
わたしを、生かそうとしてくれている同居人がいる。

食べるのは面倒だけど、やっぱりおなかが空いた夜。
何を食べるか考えるのも面倒だったけど、冷蔵庫を覗いている同居人の手元を見て、「たまねぎとまいたけをたまごでとじてください」とお願いした。
たまごは、好き。

作り終わった他人丼(鶏肉がなかったらしい)を、わたしはスプーンと一緒にテーブルに運ぶ。


元気がないときは、スプーンだと思う。

そもそも、あんまりお箸を持つのって上手じゃない。
上手じゃないから、一度にたくさん掴めないし、こぼしちゃう。

スプーンだと、いっぱいすくって、口の中をいっぱいにして
もぐもぐして、

なんだかそれで、元気になれる気がする。
ごはんがおいしい、という気持ちが
きちんと、すこやかに増してゆく気がする。


きちんと、ごはんとおかずが、たくさんある食卓も好きだけど
カレーとか、親子丼とか、オムライスとか、炒飯とか、
ただただ、なにも考えずに、スプーンですくってごはんを食べる夜が
わたしにはときどき、必要なのだと思う。




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