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小さなルールを壊して

眠るのが好きだ、と思う。

「わたしって、寝るのが好きだからさ」と、友達に試しに言ってみたりすると
「知ってる」とやさしく微笑まれて、安堵する。
そのままでいいよ、と言ってもらえた気がする。
今日もわたしは、許されて眠る。

新しい枕が、すごく心地良い。
ホテルなんかほとんど言ったことがないくせに、「ホテルの枕みたい」と、毎夜うっとりする。
なんだか、包まれている、と思う。

それなのに、大好きな枕はときどきわたしの腕の中にある。

ベッドの上には「抱える用のぬいぐるみ」が3匹もいるのに、枕を抱えてしまうのは、本当に不思議だ。
抱える用のぬいぐるみを枕にすることは決してないのに。

そんなに枕が好きならば、もうひとつ買えばいい。

夜中に目が覚めて、ぎゅっと枕を抱えながら、すてきなことを思いついた。
わたしってば、天才かもしれない。
枕はひとつだって、誰が決めたんだろう。
500円の枕だもの、もうひとつ買ったっていいんだわ。
そうだ、さっそく買いに行こう。
新しい枕カバーを買って浮かれよう。

小さなルールを壊して
自分の暮らしに、ほんの少し課金して
ささやかな幸福を諦めない。

そんなふうに思えているだけで、
わたしの暮らしは充分なのだ、ということを
しみじみと噛み締めている。




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