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君に伝えたい百の言葉

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あなたに伝えたい言葉が残っている。見失っても、百個積んだ先に何かがあるかもしれない。光を追う者のエッセイ集
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#コラム

ひとり暮らしのあなたに、知っておいて欲しいこと。 〜新型コロナウイルスに感染したわたしより

「熱が出た」 その連絡がきたときに、「ついに」と思った。 人間だもの、誰だって熱は出る。 でも、このご時世だ。 不安は、ぐっと募る。 熱が出たところとは別のところで、わたしは安堵していた。 約束が、果たされたことに。 * 今日は、ひとり暮らしのあなたに。 または、大切な人がひとり暮らしをしている、というあなたに 2021年8月に新型コロナウイルスに感染したわたしが「知らずに困ったこと」と この経験を経て、大切な友達に伝えたことをお話したいと思います。 1.熱が出たら

大切なことは、ライブハウスに教わった。

新しい部署に移動して、2週間が経った。 教えてもらって、まとめて、 それを確認しながらもう一度やってみる前に、新しいことが舞い降りてきて 気づくと、繋がっている。 「Aと流れは一緒なんですね」とか 「AがあるからBってふうになってるんですね」なんて言いながら、「そうそう」「なるほど」と笑い合う。 ゴール地点を見据えて、少しずつ前に進んでいることに、強い実感を伴う日々は、慌ただしく過ぎてゆく。 * “仕事”ということの大枠を考えるときは、いまでも思う。 大切なことは、ライ

やさしさをまとって

「へえ、」 わたしはひとり、つぶやいた。 Amazonで買い物をするときは、クレジットカード会社のホームページを経由して、「ポイント2倍」の恩恵を授かっていたのだけれど、その優待がなくなったみたい。 残念だけど、仕方がない。 わたしがいますべきことは、失われた事実を悲しむよりも、笑って「他に使えそうなモノはないかなあ」と探すことだった。 わたしが普段使うサイトで、ポイント2倍になるもの。 調べてみたら、「ユニクロ」の文字を見つけた。 なるほど、これなら使うかもしれない。

いつか、遠くへ行ってしまっても

昨日眠ってしまったのは、まくらのせいだ。と思っている。 実際のところは怠惰なわたしのせい、というのはわかっているんだけれど まくらの吸引力というか、新しいこのまくらは、もふもふしている。 使い古して、べたんとなったアイツとは、ぜんぜん違う。 包まれている、と思う。 それは、許されることに似ている気がした。 買ってよかった、と思う。 長年の付き合いのまくらを手放して、IKEAで500円のまくらを買ったのは、数日前の出来事だった。 ずいぶんと悩んだ。 いや、悩んでいた。

2014年からの贈り物

「散歩をするといいよ。日のひかりを浴びるの」 そう言われたことを、いまでも覚えている。 そしてそのときのわたしが、ほとんど散歩をできなかったことも。 あのとき住んでいた中野の風景を思い出すと、いつも曇り空だってことも。 * 骨が折れていたときの話だ。 折れていた、というのは実際のところ比喩で、わたしの骨は”剥がれて”いた。 剥離骨折、というやつらしい。 ひどい打撲だなあ、と思っていたら、骨折していた。 1度目の病院のときに、骨折を見つけてもらえなかったのか、実際に骨

ありふれた日々

仕事が終わると、「寄り道用」の電車に乗る。 最近はいつも、そうしている。 仕事のあと「決まった場所」とか「決まった時間」の何かがない限り、わたしはふらふらとする。 思考は好きだけど、決断は苦手だ。 ということを、しっかりと意識できるようになった。 「どうしようかな」って考えると面倒になってしまうので、何もない日は散歩をすると決めている。 今日は、楽器屋さんに行こうと思った。 久し振りにピアノの楽譜を見たいなあ、と思って。 楽器屋さんに行くには、いつもの散歩ルートを外れ

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宛てのない旅に出たね。 おかえり。 2020年4月2日 noteの連続更新365日を迎えました。 むりだと思っていた。 わたしはマメなタイプじゃないし、飽きっぽいし、 そういうひとじゃないと思っていた。 2020年3月31日に、アルバイトのクビ宣言を受けました。 2020年を迎えたあたりから、わたし考えていたんです。 このままでいいだろうか、って。 何か仕掛けなきゃって。 それで、noteの更新を頑張ろうって思っていた時期だったと思います。 ピアノ日記のはじめての更

だれでもないわたし

おとなになって、少しずつ解像度が上がってゆくというか、“あるべきものが、あるべき場所”に戻ってゆくような感覚がある。 あるとき、くしゃみをしていたら「寒いの?」という問い掛けと同時に、「上着を着なさい」と言われたことがある。 わたしはそのときまで、「くしゃみをするのは、寒いからかもしれない」とも、「寒いなら上着を着ればいい」とも、思えていなかった。 ただ、くしゃみが出るなあ、と思っていた。 いまではくしゃみをすると、寒くないかを確認できるようになった。 季節のイベントは、

指輪を買ったわたしは、ドトールの空気に飲まれてゆく

買い物に行こう、と言われた。 仕事帰りの出来事で、わたしは「いいよ」と告げて指定された駅に向かった。 取り立てて欲しいものがあったわけでも、買いに行かなければと思っていたものもなかった。 そんなこともよりも、「一緒に新しい何かを見て、ワクワクしよう!」という友達の言葉のほうが、よっぽどすこやかで、価値があることだった。 買い物が好きだと思う。 同じくらい、ひとりで出歩くのも好きだと思う。 でもきっとそれ以上に、“あなたとの”買い物が好きだと思う。わたしが、何を買わなくても

桜の埋葬

気づいたときには、割れていた。 瞬間、驚いたけれど、割ったのはわたしではない。 割れたまま、そこに置かれていた。 友達の部屋での出来事だった。 晩ごはんをご馳走してもらったお礼に、お皿を洗おうとした、そのときだった。 シンクの隅に、静かに佇んでいたのはお気に入りの平皿だった。 彼女にとっても、わたしにとっても。 このお皿に出会ったときのことを、いまでも覚えている。 「買っちゃった」と言った彼女は、笑顔だった。 絶妙な大きさの、青い陶器のお皿で、わたしもすぐに気に入った。

ことばにひそむ

「あの、愚痴になっちゃうかもしれないんですけど」 わたしは確かにそう、前置きしたと思う。 会社のお昼休み。 休憩スペースで、わたしたちはふたり。 他の人はみんな、お昼に行ったり、会議だったりで、オフィスには誰もいなかった。 休憩時間は不可侵、だと基本的には思っている。 だから、基本的にはそんなに話しかけたりしないのだけれど、今日はなんだか、それが許されるような、そんな瞬間はふいに訪れた。 わたしは尋ねられた質問にいくつか答えたあと、前置きをして語りだした。 最近、こんな

バンドマンの彼女にはなれない

事実はタイトルと相反していて、わたしはバンドマンの彼女だった。 もう、10年近く前のことになる。 大学に入って軽音部に入ったわたしは、バンドに憧れていたのだと思う。 音楽に惹かれていた、というほうが正しかったかもしれない。 ピアノのレッスンに通っていたわたしから、脱したかった。 嫌いだったのはレッスンだけで、先生も、音楽教室の存在そのものも、わたしは好きだった。 おそるおそる、軽音部の新歓ライブに潜入して、その後すぐ入部を決めた。 初めてライブハウスに行ったのもその頃で、

「車は、横には進まないから」

コンビニまで、あと10メートル。 大きなトラックが、わたしの横をすうっと通り抜けて、コンビニの前に停まった。 わたしは、車の免許を持っていない。 この車はどうしたいのかな、どうすれば邪魔にならずにいられるか、わからないままのおとなだ。 だから、いまでも大切にしていることがある。 わたしはこのことを、いまでも時折思い出す。 * 高校生のとき、夏休みだけガソリンスタンドでアルバイトをしていた。 校則では、アルバイト禁止だった。 わたしは生徒会長で比較的顔も知られているほ

或る昼下がり

今日のお昼ごはんは、芝生の上で食べよう。 そう思って、布団を蹴り飛ばした。 休みの日の、まだ午前中の出来事だった。 ささいなこと、を目標にしてもいいんじゃないか。と思っている。 明日はお気に入りのピアスをつけよう、とか 日課を終えたらクッキーを食べよう、とか。 今日は、芝生まで歩こうと思った。 歩いて先で、何が起こらなくてもいいと、最初から決めていた。 コンビニで好きなものを買って、食べよう。 それだけでいい。 いま思い描いたその景色を、叶えに行こう。 広い芝生があるそ