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【授業づくり】【話合い】「とんでもない意見」のメリットとは。

最近は教育界にもZoomが当たり前になり、めちゃくちゃ楽になったのですが、意見を言うタイミングをまだ若干つかめないJUNです。

先日も、同じ区内の先生方で授業を考える会議がありました。司会の先生が、「では、ご意見のある方はお願いします。」と言い放ったのですが、しばしの沈黙。

「リモートでの沈黙ほど怖いものはない。」と思い知ることができました。

本日は、そんな話題。

僕が教師として授業をしていても、「沈黙」ほど怖いものはありません。もちろん、価値のある「沈黙」もありますよ。しかし、僕のようなレベルではまだまだ使いこなすことはできません。逆に、何でもかんでも果敢に発言してくれる子どもに助けられることがあります。

しかし、果敢にチャレンジしてくる子どもの中には、思い切りストライクゾーンを外してバックネット直撃のようなボールを投げてくる子どももいます。しかし、本記事では「そんな意見こそ大事!」と主張させていただきたいと思います!

▶「とんでもない意見」とは。

「話合いは、最初の発言がとにかく大切!」ということは、教師界では誰しもが知っていると思います。先生方の中には、「最初に指名する子どもを予め決めておく。」ほど念入りに準備することもあります。その理由は、言わずもがな、

「最初の意見が、その後の話し合いの方向性を決める!」

からにほかなりません。

そりゃそうですよね。何事も「流れ」ってもんがあります。ましては、「思考」なんてものは、場の雰囲気をもろに受ける柔軟な存在です。自分が「白」だと思っていても、話し合いがスタートして多くの人が

「黒。黒だ。絶対黒。黒意外にあり得ない。」

という主張を始めると、本当は答えが「白」なのにも関わらず、

「んっと、やっぱ黒かな。」

と思ってしまうほど「流れ」は強力なのです!

先日のZoom会議でもそんなことが話題にのぼりました。それは、5年生の社会科。「車づくり」の授業でのこと、

「消費者が求めている車ってどんなものなのかな?」

と、質問をした先生。肝心な一発目の回答はこちら。

「空飛ぶ車!!」

どう思います? この回答。

提案してくださった先生は、内心「あちゃ~。」と思ったそうです。その先生の作戦としては、「環境に配慮した車」とか「自動運転」というような回答を期待していたようですが、大分空想の世界観が入り込んでいます。

しかし、僕はこれで良いのではないかと思うのです。

もちろん、授業の「ねらい」ってもんがありますので、スタート地点からある程度しぼりをかけていきたいのなら、空想感は置いておいてほしい。しかし、授業の入りとしては、悪くないかと思うのです。その理由は、次章で説明しますね。

▶「とんでもない意見」は、問い返そう。

さて、「空飛ぶ車論争」ですが、大多数の先生は、「もっと、根拠をもった現実的な意見を出したほうがよかった。」と語られていました。

もちろん、完璧な正解はないのでその意見もありでしょう。しかし、この「空飛ぶ車」発言は、ぜひ問い返してほしかった。例えば、

「空飛ぶ車? 最高だね!! 何でその車を消費者が求めていると思ったの。」

と問い返すことでこの意見の良しあしが分かります。その子が、

「えっ・・・。いや、なんというか、何となく。」

と、しどろもどろで答えたのならさようならです。僕の考えは間違っていました。何の根拠もなく空想の世界で話を続けていたのなら、その一時間がファンタジーで終わってしまいますからね。

しかし、しかし! こういう答えが返ってきたらどうでしょう。

「空飛ぶ車の理由ですか? それは、この前出かけたときに渋滞がひどくてすごく時間がかかったから、空飛ぶ車をつくれば渋滞がなくなって、たくさんの人が喜ぶと思うから。」

と、答えてきたらどうですか? 一概に「ふざけている!」とは言えないですよね。この可能性にかけて、問い返そうではないですか。

まぁ、長い間一緒に授業をしている仲ですから、その子どもさんの普段の様子で「空飛ぶ車」の真意は分かると思います。しかし、先生としては、根拠ばりばりで発言した可能性も信じたいものです。

▶「とんでもない意見」の大切さ。

さらに、「とんでもない意見」のメリットについて書いていきます。

それは、

「話合いのハードルを下げる!」

という効果があるのです。何事も「流れ」や「順序」というものがありますよね。どうでしょう。一番最初に発言した子どもが、

「今、消費者に求められている車は排気ガスを出さない車だと思います。その理由ですが、現在、世界では環境問題に配慮した車が求められています。その要因の1つとしてはみなさんも聞いたことがあるでしょう。地球温暖化が深く関係している訳ですが、日本でも「脱炭素化」に向けて動き始めています。この動きは、ヨーロッパではさらに進展していて2025年までにガソリン車をうんぬんかんぬん。」

と主張しだしたらどうでしょう。多くの子どもが、

「あっ、俺、やめとこ。」

と、思うでしょう。そう考えると、一番最初に、

「俺、空飛ぶ車ほしい!」

と、言ってくれたのなら、「俺はね!」と続けやすいと思いませんか。

もちろん、空想合戦で最後までいくのは授業としてはよくないでしょう。しかし、最初の発言で「この流れなら意見を言えるかも。」と思ってもらうには、やはり「空飛ぶ車」は、良い働きをしているとも言えるのです。

▶まとめ。

本記事では、「とんでもない意見を『とんでもない!』と決めつけない。」という内容をまとめました。

さらっと書きましたが、子どもたちと共に話合いをつくりあげるのは本当に難しいもので一朝一夕でできるものではありません。やはり、毎日の積み重ねが大切で、それなりの時間をかけて授業を共につくりあげてきた仲間だからこそ、そのクラスにとって心地よい「流れ」ができるのでしょう。

教師側も、日々挑戦し続けてきたからこそ、子どもがどのような意見を主張してくるかの予想がつくわけです。

ぜひとも、根拠のある「みとり」を生かし、「とんでもない意見」を取り入れながら話合いを充実させていきましょう!!


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