クリスマスの日も1日姉の家に行っていた。
姪っ子たちはサンタさんからプレゼントをたくさんもらったようで大はしゃぎだった。
その中で2番目の姪っ子がもらった鬼滅の刃の禰??豆子ちゃんの黒ひげでみんなで遊ぶことになった。
黒ひげなんて何年振りにやっただろうか。
たぶん小学生以来かもしれない。
その当時、地元の盲学校に喋る黒ひげがあった。
たまに休み時間にみんなで遊んだのだけれど、私は黒ひげがあまり好きではなかった。
それは黒ひげがいきなり飛び出してくるのが怖かったからというのもあった。
しかしそれよりも、剣を穴に突き刺す度に、「いてててて」とか「ギャーっ!」と悲鳴を挙げる黒ひげが、何だかかわいそうに思えて悲しかったのだ。
剣をグサグサと突き刺されて、黒ひげが嫌がっているというのに、なぜみんなはそれを楽しめるんだろうと、子供ながらに納得がいかなかった。
あれから約20数年。
禰??豆子ちゃんの黒ひげがあることにも驚きだが、黒ひげは私たちの頃とはずいぶん変わっていた。
まず私たちの頃は、黒ひげを飛び出させた人が負けだったのが、禰??豆子ちゃんの黒ひげでは飛び出させた人が勝ちなのだそうだ。
これは黒ひげのそもそもの話が、閉じ込められた黒ひげを救い出したところからきているのだろうか。
禰??豆子ちゃんの黒ひげは、2番目の姪っ子と母と甥っ子と私の4人でやったのだが、一向に禰??豆子ちゃんが飛び出す気配がない。
ついに最後の剣を突き刺しても、禰??豆子ちゃんが飛び出してくることはなかった。
おかしいなあと思っていると、姪っ子が言った。
「これ引き分けだって」
引き分け…?黒ひげに引き分けなんてことがあるのか?!
もしかしたら剣がちゃんと穴に刺さっていなかっただけかもしれないが、姪っ子が言うには、今回のゲームは引き分けとのことだった。
もし本当に黒ひげに引き分けというものがあるとしたら、それは勝ち負けをあまり好まない現代の考え方が繁栄されているのだろうか。
黒ひげ一つ取っても時代は変わったなあと思わされたクリスマスの午後だった。
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