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 前回の記事の続きである。

 施設の特別プログラム最終日。午前のカラオケの後、昼食をはさんで午後からはお菓子作りをやった。
 お菓子作りでは、餃子の皮にバナナとチョコを包んだ物とカップケーキを作った。

 まず最初に餃子の皮が乗ったお皿と、半分に切られたバナナ、さらにビニールにくるまれたチョコレートが配られた。
 早速餃子の皮の真ん中にバナナとチョコを置いて包む作業をした。
 子どもの頃何度か餃子を作ったことがあったので、餃子の皮を包むのはそれほど難しくないだろうと思っていた。
 だが実際にやってみると、皮を畳む時につける水の量が、一つ目は少なすぎたり、二つ目は多すぎたりと、なかなか調節が難しくてうまくいかなかった。それでもスタッフさんが手伝ってくれたり、形を整えてくれたりして何とか仕上げることができた。
 そうやって作った物は、スタッフさんがホットプレートで焼いてくれるそうだ。

 続いて粉が入った袋と四角い紙のカップが渡された。この時点ではそれがカップケーキになることは知らされていなかった。
 渡された袋を触ってみると、中には確かにサラサラ下粉が入っていた。袋の底からは黄な粉らしき匂いが漂ってくる。
 後にその粉の正体が薄力粉とベーキングパウダーと黄な粉であることが分かった。
 その袋の中にスタッフさんが豆乳と砂糖を入れて回ってくれた。私たち利用者はそれを袋の上から揉む作業をした。そこでようやく袋の中身がカップケーキの種になることが明かされた。
 袋を揉んでいる時のどろっと冷えた感触が何とも心地良かった。

 その作業の後、こんどは袋の中身をさきほど配られた四角いカップに流し込むことをやった。
 その時に失敗してしまいそうな人はスタッフさんが手伝ってくれると言うので、私は即おねがいした。絶対に中身をぶちまけてしまいそうだったからだ。ここで中身をこぼしてしまったら、せっかくのカップケーキが食べられなくなるではないか。
 スタッフさんに手伝ってもらったおかげで、種を1滴もこぼすことなく綺麗にカップに移すことができた。
 カップに入れられたそれは、やはりスタッフさんが電子レンジで焼いてくれるそうだ。

 それにしても、予めスタッフさんが材料を軽量してくれたり、うまくできない作業の時には手伝ってくれたりするのは本当にありがたいことだと思う。
 というのもそれまで盲学校などでの調理では、材料の軽量から道具の準備、もちろん調理の工程だって全部自分一人でやらされていた。
 全盲の上に不器用でそそっかしい私は、それこそ軽量の時に材料をこぼしたり、混ぜたり切ったりする作業がうまくできず、その度に先生からよく怒られていた。私が今だに調理を好きになれないのは、盲学校時代のそのような経験が強く影響している。
 だからこそ苦手なところをスタッフさんが補ってくれるのは、料理への苦手意識が薄まり楽しいと思えてくるのだった。

 10分ほどの休憩をはさんだあと、コーヒーや紅茶を飲みながら、作ったお菓子を皆で食べた。
 カップケーキには黒蜜をかけて食べた。お餅とケーキを足して2で割ったような何とも言えない食感だったがとても美味しかった。
 バナナとチョコを餃子の皮で包んだ物も、餃子の皮のパリッとした食感と、暖かいチョコとバナナがじわっとしみ出してくる感じが最高に良かった。
 せっかくこうやってnoteに上げるのだから、できたお菓子の写真を見出し画像として上げたかったのだけれど、携帯で写真を取ってもらうのを忘れてしまった。本当に申し訳ない。

 このお菓子作りも含めて、今回初めて参加した施設の特別プログラムは、どれもとても良い体験ができて楽しかった(台風の影響で二日目の夏祭りとトートバッグ作り体験が飛んでしまったのが残念だったが)。
 この三日間の特別プログラムを、私たち利用者に少しでも楽しんでもらえるようにと、忙しい中でも準備や運営をしてくださったスタッフさんたちに感謝の意を表して、このレポートを終えたいと思う。三日間私たちのために本当にありがとうございました。とても楽しかったです。♪

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