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久しぶりの夢日記~早朝の町を母と二人海まで歩く~

 夢の中の私は、朝5時過ぎに目覚めた実家のベッドの中で、イヤフォンで一人ラジオを聞いていた。いつもの緊張をごまかすかのように。
 なぜ朝から毎日のように緊張しているのか。
 それは私自身嘔吐恐怖症なのだが、早朝に出勤する父が、毎朝洗面所で歯を磨く時にだいたいいつもえづいているので、それを聞くのが怖いからだ。しかも自室は洗面所に近く、歯磨きの度にえづく父の声がよけいに聞こえるのだ。

 その日も5時半過ぎに父が部屋から出てきた。
 緊張による胸の鼓動がピークに達した瞬間、場面が切り替わった。

 私と母は早朝の町を歩いていた。
 家の前の道を、ただひたすらに真っすぐ歩く。その横を、始発のバスが通り過ぎていく。
 早朝ということもあって、辺りはとても静かだった。
 なぜそんなことになったのかは分からないが、ずいぶん前に家族でドライブに行ったことがある海まで歩いた。

 海までどのぐらい歩いただろうか。
 海に着いてからも、ごつごつした岩場を母と二人ゆっくりと歩いた。たわいのない会話をしながら。
 海には私と母の二人しかいない。波は穏やかで静かだった。

 そうやって海にはどのぐらい居ただろうか。
 行きの早朝の時とは打って変わって、帰りの道は車通りが激しかった。
 途中ラーメン屋を見つけて、そこに入ることにした。朝からラーメンなんてほとんど食べないのに…。
 ラーメン屋の入り口で席が空くのを待っていたところで目が覚めた。

 言う間でもないが、目覚めたそこは施設の自室だった。
 そっかー、ここは施設なのだ。もう実家に居た頃のように、歯磨きの最中にえづく父の声に怯えなくてもいいのだ。
 そう思ったらほっと安心したと同時に、なんとなく少し寂しくなった。

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