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宝の持ち腐れ

 また今月も毎月恒例のレディースデイ、いやシャワーウィーク(ようするに生理のこと)期間に突入した。
 施設という集団生活の場での生理への対応は、全盲者にとってはよけいに難しいというか、かなり気を遣うことだと思う。
 極力この期間中はトイレを使い終えた後には、備え付けの消毒用のアルコールで湿らせたトイレットペーパーで便座をふくなど、できる限り汚れを残さない努力をしているつもりではいる。
 ※これより先少し生々しい話になると思うので、流血などえぐい話が苦手な方はご注意を。
 しかし先月のシャワーウィークの時、トイレの個室の床に鮮血の固まりを落としてしまっていたようだ。さらに今回のシャワーウィークの直前の織物で、便座を少し汚していたり、陰毛が落ちていたとスタッフさんから指摘を受けた。
 たぶんナプキンを付け替える時に便座から立ち上がった際気づかずポタっと落としていたのかもしれない。また陰毛の件も、新しくつけたナプキンのずれを直す時に、ナプキンが一瞬陰毛に当たってポロっと抜け落ちたのかもしれない。
 便座の汚れをふき取ることは何とかできるけれど、床の汚れまではどうやって確認したらいいのか分からない。できるだけ鮮血や陰毛を落とさないようにするにはどうしたら良いのだろうか。
 いろいろ考えた結果、ある物の存在を思い出した。
 それはこの施設に入る時、母が荷物の中に入れてくれていた、紙パンツタイプのナプキンである。
 自室のロッカーの奥の方にうずもれているそれの存在を何となく知ってはいたものの、どうやって使ったらいいのかいまいちよく分からなくて今まで使ってこなかった。
 これはあくまでも私の場合なのだが、初日から二日目ぐらいまでの1番出血がひどい時にこの紙パンツタイプのナプキンを使えば、鮮血や陰毛を落としてトイレを汚す心配が軽減されるかもしれないと思い、今更ながら使ってみることにしたのだ。

 使い始めてみてビックリした。袋から出してはくだけで良いのだ。まあ紙パンツなのでそりゃあそうなのだけれど、夜用のナプキンをつけることを思えばだいぶ楽である。
 しかも薄い!こんなに薄くて果たしてちゃんと吸収してくれるのだろうかと不安になったほどだった(後でこのナプキンを勧めてくれた妹に電話して聞いてみたところ、長時間つけていても吸収力はかなりあるのだとか)。
 でもその薄さのおかげで、従来のナプキンをつけているよりもモコモコ感が無く、はき心地がとても良かった。
 そして何よりもナプキンを付け替える手間が省けるのが楽で良い。これならトイレを汚してしまう不安や心配が軽減されるかもしれない。そう思うと、シャワーウィーク期間に突入しても憂鬱な気持ちが減って精神的にも少し楽になった。
 なぜもっと早く紙パンツタイプのナプキンを使わなかったのだろうか。まさに宝の持ち腐れである。

 ところでここ最近視覚障碍関係のメーリングリストを読んでいると、視覚障碍女性と生理に関するシンポジウムや講演会についてのお知らせをよく見かけるようになった。
 視覚障碍者に限らず、こういった取り組みのことを「フェムテック」っていうんだっけ?詳しいことはよく分からないけれど。
 視覚障碍者と生理について、世間でもようやく取り上げられるようになりつつあるような気がする。これは視覚障碍女性の一人としても非常に良い動きだなあと嬉しくなる。
 私ももっと近くで視覚障碍者と生理に関するシンポジウムや講演会などがあったらぜひ参加してみたい。他の視覚障碍者の女性は、生理の時どうしているのか、どんな工夫をされているのか、ものすごく気になるし知りたいからだ。そう思っているのはきっと私だけではないはず…。
 この施設主催でやってもらえないだろうかと、まじで施設長に提案してみようかしらとちょっと思っている。

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