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『PM!!』 あらすじ・登場人物設定

PM=Production Manager(プロダクション・マネージャー)の略。プロマネともいう。
日本語だと通称・制作。あるいは制作部。CM制作会社における、なくてはならない若手の存在のことで、いわば何でもやるポジションだ。
制作会社に所属するPMの仕事は、全体スケジュールの管理、撮影までの準備(ロケ地探し・交渉)、スタッフとの連絡や手配、撮影現場での仕切り(カチンコ入れから弁当の手配、商品管理)、仕上げの仕切り(編集、ダビング、音楽入れ)、実行予算を立て予算管理をする・・etcと多岐にわたり、そのパートを大抵一人でこなしている。

この物語はCM制作のバックステージものである。限りなく実際のエピソードを元にしているものの、あくまでフィクションであり、弱小CMプロダクション(制作会社)入社2年目の駆け出しPMが、広告業界の荒波と理不尽な人間関係に揉まれながら、自らのアイデンティティに目覚めていく青春物語であり成長譚でもある。
 
主人公は左庭大介(24)。三流大学を単位ギリギリで卒業し、ここ新橋の片隅にある弱小CMプロダクション『ラッセルフィルム(映像制作会社)』に採用された。
採用理由は高校時代サッカー部で体力があったことと(ポジションはボランチ)、やたらとマニアックなB級ホラー映画に詳しかったことだ。
制作部見習い期間の一年を過ぎ、今日からプロダクション・アシスタントからプロダクションマネージャー=PMに昇格した、ところから物語は始まる。
体力とやる気には満ち満ちているのだが、仕事も半人前、それにまだ世の中の仕組みを理解していないようで・・・仕事のたびに怒られてばかり。
しかし、彼のバカさ(=ひたむきさ)は、最終的にはなぜかスタッフに受けがいい。それは、誰しもが、業界に入りたてだった、かつての自分の姿を彼に投影できるからかもしれない。
左庭が手がけるCMは多種である。化粧品・頭痛薬・車・銀行・通信・めんつゆ・スポーツドリンク・・それぞれに、特別な撮影があり、スタッフがいる。CM制作にはトラブルがつきものだ。スムーズにいく仕事(=撮影)はない。
左庭は、仕事を通して、いや自分が関わる商品を通して、世の中の仕組みを少しづつ理解して行く。
CMを制作することは、世の中を知ることだ。
楽しいことも辛いことも、たった15秒のCMを作る中に詰まっている。
 
彼を取り巻く登場人物には曲者の大人が多く登場する。
左庭の勤める制作会社には、上司である今どきプロデューサーの中邑真輔(35)、昭和・平成のモノづくりの変遷を見てきた社長・武藤、チーフ・プロデューサーのミスター晴れ男・中西学(43)、ベテラン制作のコワモテ鈴木実(30)、経費にうるさいデスクの里村めい子(年齢不詳)、フリーの制作部の仕事人・秋山準(33)などなど。
スタッフには、親の七光りカメラマン柳川由香里、MV系が得意な中沢智也、映画的な仕上がりが得意な倉沢均、ナンパ師カメラマン小塚裕司、怖い照明技師 山本浩二、飄々とした美術部竹田和夫、美人スタイリストの原田カオルと最近、原田のアシスタントになったばかりの新米・神奈川カオリなど。
発注主である広告代理店のクリエーターには、スマイリー小枝(すごろくさん)、鬼の大沢辰男、超変人の柿沼弘、コンプラ命の鳴海慎吾、大阪からの刺客・荒川尚之・・・etc.
その回で扱う商品に合わせて、リアリティのあるキャラクターのスタッフ(演出・カメラ・照明・美術・特機・スタイリスト・ヘアメイク・クッキング・特殊効果・カメラカー・CG・編集・音楽プロダクション・キャスティング・・etc)が登場し、主人公やラッセルフィルムの面々を困らせたり助けたりして、ぶつかり合いながら一本のCMが出来上がっていく。
この作品は、社会人二年生の主人公を通して『早く一人前になりたい気持ち』『CMを好きという気持ち』『モノづくりの情熱』『かつてCM業界にあった(そして今も多分ある)若い熱』を描くお仕事漫画の新ジャンルである。
みんなが毎日テレビで見ているけれど、あまり知られることのないCM制作の裏側を描きながら、仕事につまづきながら、毎日頑張る若い仕事人を応援する作品である。
 
 
<主要な登場人物>
 
○左庭大介(24)主人公。プロダクションマネージャー=PMに昇格したばかり。西海大学文理学部卒業。高校時代は、そこそこ名門サッカー部でボランチのレギュラーだった。オシム監督の言う『水を運ぶ人』に憧れボランチ志願。しかし、このポジションを選んだことが、就職試験全滅だった彼を救うことになった。彼の働くCM制作会社での仕事とは、まさにボランチのように、ひたすら走り、前線にパスを送り、デフェンスとなれば体を張って危険を水際で防ぐことを求められる職種であった。果たして彼は、社会人としても名ボランチになれるのであろうか・・・。
 
●株式会社ラッセルフィルム=Russell Films co.ltd.
新橋の片隅にある弱小CMプロダクション。会長である坂口征二(62)が大手制作会社から独立後に設立。今年で設立20年。大手に大きな仕事を取られながらも、コツコツやっているうちに信用がついた。「広告代理店にはNOを決して言わず、スタッフにもNOとなるべく言わず」が会社のモットーで、「お金は額に汗かいて得るもの」との信条がある。
 
○社長 武藤圭司(52)・・と言っても、弱小CMプロダクション故、営業もこなし現場も顔を出す。まぁ、現場が好き、というのもある。昭和のモノづくりを知っている男。数々の伝説・武勇伝がある。
 
○中西学一(43)チーフ・プロデューサー。体も大きく根っからの体育会系。驚異の晴れ男と知られ、20年間ロケの予備日を使ったことがないのが自慢。
 
○菅原尚樹(40) チーフ・プロデューサー。超文系の雨男。ロケを苦手としてスタジオ撮影を好み、なんでも合成とCGで仕上げようとする。しかしクオリティが高いので業界ではそのプロデュース力に一目置かれている。
 
○中邑慎介(35) プロデューサー。今どき系のプロデューサーで、カタカナの頻度がやたらと高い。芯には熱いものがある。左庭の上司になり、厳しくも温かい指導をする。
 
○鈴木稔(30)ベテランのプロダクションマネージャー。とにかく厳しい。左庭はこの人の下で一年間アシスタントとして鍛えられた。
 
○飛鳥明日香(28) 仕事が超できる女性プロダクションマネージャー。彼氏なし。グルメで差し入れ好き。代理店の評判もいい。スタッフの受けもいい。男運だけない。
 
○内藤正雄(22) 途中から登場。新人。プロダクションアシスタント。今どきの若者なのでITスキルは高いのだが、現場には弱い。あまりの仕事のきつさにいつ辞めようかとばかり考えている。
 
○里村千種(年齢不詳)デスク・経理。ラッセルフィルムの金庫番。仕事は有能。怪しい領収書には厳しい。離婚争議中。
 
○秋山淳(33) フリーの制作部。職人。自由な考え方の持ち主。時に、左庭の教育係も兼ねる。ジュンさん。スタッフからの信頼は暑い。
 
○海本敏弥(30) フリーの助監督。普段は映画畑。エキストラが多い時など呼ばれて現場を仕切る。左庭にとって恐れる存在。
 
○三宅悟(37) ラッセルフィルムが契約するロケバスのドライバー。元制作部なので何かとキャリアの浅い左庭を助けてくれる。
 
●取引先の広告代理店 万通堂のクリエイティブの面々
 
○小枝六郎(50) CD(クリエイティブ・ディレクター)スマイリー小枝の愛称があるようにいつもニコニコしている。6年に一度くらいヒットCMを出すので「すごろくさん」とも言われる。制作会社の人気者だが出世はしていない。
口癖「仕事は楽しいのが一番だよね〜」
 
○鬼の大沢辰男(48) CD。とにかく暴力的。制作会社のことは奴隷だと思っている節もある。広告作りにかける情熱が人の数倍の熱量なので、部下は皆おかしくなって辞めてしまう。
口癖「おい、お前は、世界中探したのかっ!!!」
 
○超変人の柿沼弘(39) CD。素敵な企画を立てる。しかし、いじめられっ子だった反動で、とにかく制作部をいじめる。〆さばが食べれない。
「あのさ、〇〇君て仕事できない人?なら、いーけど」
 
○コンプラ命の鳴海慎吾(38) CD。とにかく細かい。資料づくりなどのチェックや守秘義務などにこだわる。東大出身の官僚的なクリエイティブ。
口癖「できてないじゃん?!ラッセルさん的にどうなのこれって?」
 
○大阪からの刺客・荒川尚之(34) CMなんて面白くてなんぼでしょ、と、笑えるCMが得意。関西独特のノリで安い制作費でもなんとかしようとする。東京の万通クリエイティブに対するライバル心が強い。
口癖「CMには二種類しかないんや。おもろいCMとおもろないCMや」
 
●他に、きついクライアント、おかしなクライアント。できる、できない営業。などなど。ストーリーに合わせて適宜登場。
 
●その話(複数回で構成)で扱う商品に合わせて、リアリティのあるキャラクターのスタッフ(演出・カメラ・照明・美術・特機・スタイリスト・ヘアメイク・クッキング・特殊効果・カメラカー・CG・編集・音楽プロダクション・キャスティング・・etc)が登場し、主人公やラッセルフィルムの面々を困らせたり助けたりして、ぶつかり合いながら一本のCMが出来上がっていく。
 

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