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創作という行為についての考察ならびにふえるゾンビちゃん成分表


怪文書

何もないところからものは作れないんです。
オリジナリティというのも無から有を生み出すのではなく、何を取り入れて何を取り入れないかで決まるんです。

「〇〇という作品が面白かったから〇〇みたいな筋書きとシステムとグラフィックのゲーム作る」と、
「〇〇という作品は面白かったが一部頂けない要素を外して代わりに××っぽい要素を組み込んだゲーム作る」だったら、
どちらの方がオリジナリティのあるものかお判りいただけるでしょうか?

自覚の有無に関わらず、ものを作るというのは自分が見た聞いた知ったものを解釈して組み合わせて出力する行為です。
要は人間ブラックボックスです。
「引き出しを増やす」というのも、物語を食らい音楽を食らい絵画を食らい、それを取り込んで己の血肉にしていく行いです。実際の血肉は代謝しているので食べたものもいずれ入れ替わってしまいますが、これは仮想の血肉なので問題ありません。
冷蔵庫の中にあるもので晩御飯をうまいことこしらえるようとするのにも似ています。
或いはペンパイナッポーアッポーペン。

ところで記憶に残る物語ってなんなんでしょうね。
「きれい」「いい話」「泣いた」「感動した」という物語は、嫌いじゃないけどあまり印象に残らずスッと抜けていってもう思い出せなかったりしませんか。
「後味が悪い」「いい話風だけど致命的に良くないことになっている」「深く考えたら怖い話」の方が、大筋を忘れても断片化して強烈に記憶に残ってたりしませんか。

「僕が作った薬を飲んだ性格の悪いおばあちゃんがミクロサイズに縮んで消息不明になったのでお母さんは号泣したけど半日後にはもうすがすがしい顔をしている」
これは子供向けの本の結末です。もう忘れられないでしょう?


今回は自作品「ふえるゾンビちゃん」の構成要素(元ネタ)を分析しました。

システム

ストアやプレスリリースではパズルアドベンチャーということになりましたが、やりたかったこととしては「Elonaの新規データを作ってまだ武器もレベルも全然足りてない時にコボルトに遭遇してしまいやられないように近づかないよう必死にワールドマップに脱出する」ときの、あのハラハラした感じをゲームにしたかったのです。
つまりローグライクの戦闘要素抜きです。過去作でRPGの戦闘要素抜きは既にやっております。戦闘が嫌いすぎるんじゃない?
こちらの紹介ではローグライク要素を拾って頂けて嬉しかったです

開発メモを見返すと色々面白くなりそうな要素を考えていたことが伺えます
・ゲームオーバー条件が「四方をゾンビに囲まれる」→そんなに複雑なゾンビシステムを作ってる時間がないのでボツ
・段ボールで身を隠す→そんなに複雑な(ry



!!

↓ここから先は本編の内容にも触れていくので良ければ遊んでから読んで頂けるとウレシイデス……↓
 →iPhone用
 →Android用
 →PCブラウザ https://unityroom.com/games/thevoodoobox





ストーリー

メリーバッドエンドと言うものがありますね。「本人達は満足してるけど外野から見たらどう見ても不幸やん」という終わり方のことです。
「ではメリーバッドエンドの逆は?」「本人達だけが幸せで周りは大惨事」「死体の山でワインを酌み交わすような」という終わり方を誰かが「ミゼラブルハッピーエンド」と名付けたそうですが、あまり定着していないようです。
今回のコンセプトはミゼラブルハッピーエンドです。

ヒトツメ編(1-1~3-3)の結末には元ネタがあります。
ZOO2」(乙一)に収録されている短編小説「神の言葉」の結末部分がそれです。
もちろん物語や登場人物は全然違いますし、こちらの作品にはゾンビも出てきませんが、最終的に大惨事になって主人公だけが独り勝ちする構造を参考にしています。
ゾンビは出てきませんが、グロテスクさと大惨事の規模はこちらの作品の方が上です。

ヒトツメ

ゲームに限らずシナリオのギミックとして「記憶喪失」ってすごく使いやすいんです。
プレイヤーと主人公の所持情報を同じ値「0」からスタートさせられるから、追加の情報を出しやすいし、プレイヤーと主人公の足並みが揃うから共感もさせやすい。
まあ、あまり乱用するのは良くありませんが。

訳の分からない危機的状況に置かれ、プレイヤーと一緒に手探りで進んでいく、オーソドックスな主人公です。
特別に魅力的ではないけど、嫌悪感も与えない、ほどほどの主人公です。
9つのステージを突破する頃には親しみもわいて、この大惨事の原因が主人公だったと知ってもあまり責める気にはならないのではないでしょうか。

最終的にそれを裏切ってしまうんですが。

ヒトツメ編(1-1~3-3)での性格と、それ以降の性格だったら、恐らくは以降の性格の方が人には魅力的に見えるだろうというのが残酷な話です。

「性別不詳キャラは性別不詳のままにしておけ」という持論があるので、ヒトツメちゃん、ヒトツメくん、どちらでも好きな方をご採用下さい。

なおヒトツメは本名ではないです。明らかになる日は来るのか。

ゾンビにゃん

野良猫の中でも地域猫と呼ばれる半分共同体で飼われているようなタイプの猫は、個体数の増加への歯止めや病気の予防のために避妊・去勢手術を施されることがあります。また、手術済みの猫を再び捕獲することがないよう、そのしるしとして耳の先端をV字にカットしておくというシステムがあります。
にゃんの耳がそれなのか、別の要因で切れてしまっただけなのかはご想像にお任せします。

シスター

ビジュアル面、というか瞳がああなってるリスペクト元はZelleの女神ちゃんです。おすすめのホラーADVです。是非遊んで頂いて初見の「女神じゃなくない???」の困惑を共有したい。
シスターと言いつつ服装デザインにはカソックの構造も混じってたりします。呼称をシスターにするかエクソシストにするか悩んでいた名残です。
ロザリオって本当は首から提げるものじゃないそうなんですが、記号としての分かりやすさで提げちゃってます。

性格面の元ネタはサイコロステーキ先輩です。
シスター編の結末は作り始めたときから確定していたので、ひどいことになっても心の痛まない性格にしようと思ってこうなりました。
筋が通ってるけど聖職者としては軸がぶれている。
人並外れた浄化パワーさえ無ければ、性格を理由に破門されて本編より長生きできていたことでしょう。

なおシスターは本名ではないです。本名は特に考えてません。

ショーニン

デザイン面には本当に色々な要素やキャラクターが混ざっているのでこれはちょっと説明してたらキリがない。割愛します。

一頭身のデザインはヒトツメと同じタイミングで出来ていたのですが、以降デザインは固まり切らないままunity1weekの期間が終わってしまいました。
そんな中で「最後まで目は出さないでほしい」と言われたのがきっかけで急に設定が固まりだして現在のデザインになりました。
もともと「町に厄災をもたらす原因の原因」って役割しか無いキャラクターなのに「そもそも何者なのか」「何故怪しい商品を売りさばいているのか」「どこで仕入れているのか」みたいなところまで組終わってしまいました。作中では使っていない設定たちです。
スピンオフで使おう(決意)

作者は関西人ではあっても京都人ではないので、頭の中に知っている京都弁のキャラクターを浮かべて台詞を翻訳シミュレートさせて書いていましたがそれにも限界がある。
京都弁アドバイザー募集中です。

ショーニンは本名ではないです。そのうち明らかになるでしょう。


おまけ

unity1weekで開発する際に作ったメモの一部。

画像1

第一形態はほぼラフそのまま。

画像2

第二形態ラフ。ヒトツメの方しかありません。やっぱりラフわりとそのままです。

画像3

第三形態ラフ。
ヒトツメのことは「セコムマサダ先生みたいだな」と思いながら描いていた記憶があります。
ショーニンの方は今と全然デザイン違う上にメカクレ過激派にしばかれることになりかねないのでモザイクです。今よりも行商人っぽい感じでした。


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