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短歌まとめ📚

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碧乃そらが詠んだ短歌の月別まとめ、お題のまとめ一覧。
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2023年10月の記事一覧

短歌九首 【毎日お題まとめ②】

短歌九首 【毎日お題まとめ②】

◯電車

  三年間同じ電車に乗っていた背の高いひとを思い出す空

◯読書または本

  長き夜に没頭したい 待ちわびた鈍器のごとく厚き新書本

◯風

  空を分かつ飛行機雲の裂け目から白風の吹き、蜩のこだま

◯ケンカ

  冷戦が三日続いて君が言う「今夜はビーフシチュー」「うん、いいね」

◯秘密

  言わないで あなたの心を盗んだこと ひそやかに花開く月下美人

◯アイドル

  彼らな

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短歌十一首 【毎日お題まとめ①】

短歌十一首 【毎日お題まとめ①】

◯未読

  既読にはなりえぬ最後の言葉たちを蒼きハーバリウムに沈めて

◯望遠鏡

  天文台の望遠鏡をかわるがわる覗いた僕らをつなぐ流星

◯記念品

  胎毛で筆をつくれり みどりごの手ざわり思ふ母の記念品

◯ゲーム

  僕は今、岐路に立っている それなのにルート選択の画面が出て来ない

◯泡

  音のなき閨は濃藍の海の底 泡沫の吐息にひそむ言の葉

◯触れる

  ひそやかに熟した何

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短歌二十四首 【2023年9月まとめ】

短歌二十四首 【2023年9月まとめ】

愛おしさに気づいて触れた指、まるで夏の魔法だブルーサルビア

生きている尊さ噛みしめ水澄のつくる波紋をしずかに見てゐる

優しさは所詮偽善だ。それでもきっと、今も誰かが救われている

釘を使わずに木材を継げるならあなたにもっと優しくありたい

秒針の音がやけに響く夜中 取り込まれてもいい闇がある

愛を信じきれない「ぼく」はまだ物置の奥でうずくまったまま

色なき風 主人うしなひしデスクには万年筆

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