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散乱した詩

152
ことばの集まり
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2022年3月の記事一覧

もしも言葉が弾丸なら

もしも言葉が弾丸なら

もしも
もしも言葉が弾丸なら

あの人の心を
貫かないように

ただ空に向けて
音を響かせていよう

優しく曖昧な声で
詠っていよう

道化だと言われても
滑稽に見えても

この真意が
届かないとしても

そこで笑ってくれている現実が
変わらなければいいと思う

なんて捻くれた根性だろう

なんて捻くれた根性だろう

絶望は積もりに積もって
もはや肌に染み付いてしまった

なんて捻くれた根性だろう

慣れたふりをして実のところ
見返りのない世界を許せないで

希望に一時救われた気になって
明日も子供のようにはしゃぐのだ

実らないなら

実らないなら

実らないなら価値がないなんて
そんな風に思わない

今、花が咲いたように
あなたが笑っているのなら

どうせいつか

どうせいつか

どうせいつか
この世界を発つときには
誰もが独りきりになるのだから

部屋中を飾った宝物も
そっとしまった想い出も
貴方を大好きだったこの心も

すべて持っては行けないよ

どうせいつか
この世界を発つときは
誰にだってやって来るのだから

見つからないままの探し物も
どこかに捨ててしまった後悔も
貴方に謝らなきゃいけないことも

今このままにしては行けないよ

何が、人を別つのだろうか

何が、人を別つのだろうか

何故、同じ道を歩けないのだろう
何故、取り合った手を離すのだろう

ずっと共に在るはずだ、と
失われた今でもそう思うのに

訪れる痛みを
消えない哀しみを

空虚な傍らを知りながら
何が、人を別つのだろうか

私に恋は難しい

私に恋は難しい

誰かを好きになることは
とても難しいと思う

臆病と下心を綯交ぜにして
返ってくる言葉を秤にかけて

嫌いな理由を見つけては
見切りをつけてみる

手に入れてしまえばきっと
失ってしまうから

自分のものになればきっと
元の形とは違ってしまうから

そうやって薄情な心に言い訳をして
その場をやり過ごしている

私に恋は難しい

私は貴方の敵ではない

私は貴方の敵ではない

貴方を敵だと思ったことはない
ただ、今は敵対しているだけ

「敵になる」と
「敵対する」では

意味が違うと
私は思う

貴方には貴方の事情があるでしょう
私には私の、どうしても譲れないものがある

だから今は
手を取り合えないけれど

貴方は私の敵ではない
けして、私は貴方の敵ではない

いつか同じ方向を向いて進めると
その時を信じている

貴方を否定している

貴方を否定している

「貴方は違う」と
突き飛ばした右手で

まだペンを持っている

本当は羨んでいた
本当は妬ましかった

「誰にでも吐ける言葉」では
貴方に太刀打ち出来ない

特別に成りたかった
まだ未練がましい左手は

一般論と世間体を言い訳に
貴方を否定している

きっと誰も悪くないけれど

きっと誰も悪くないけれど

離された指に気づけないくらい
そんな些細な関係でしかなくても

確かにすり減った心は
少しずつ傾いてしまうよ

きっと誰も悪くないけれど