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仕事つくる#39 崇高なビジョンはいらないけど、目指す幸せのカタチを言葉にしておくことは必要だよねという話

経営者には大きく2パターンいて、高らかにビジョンを掲げて高い山を登ろうとする人と、目の前のことに集中して着実に歩を進める人。よく富士山の登り方なんかに例えられたりしますよね。僕はあきらかに後者で、まず目の前のチャンスを確実にものにしていき一歩ずつ目線を上げていくスタイル。実際に毎年着実に動かせる予算や協力してくれる人たちの和が膨らんでいき、見える世界が変わってきてます。

知識や経験が身につき、動かせる額も少しずつ大きくなって、どんどん自分が社会に残せるインパクトが大きくなっていく。そのこと自体が楽しくて前進できているので、「全世界の子どもたちが笑顔になれる世界をつくるぞ!」みたいな崇高なビジョンは必ずしもいらないよねっていうのが僕のスタンスであることは変わりないです。

しかしながら、従業員を抱えて3年が経ってちょっとだけ意識が変わってきました。それは、働いてるメンバーが「こんなことをしてるよ!」って家族や友人に話せるくらいまでにはビジョンを言葉にしておきたいということです。これまで通り別にそれが崇高なものである必要はないのですが、ちゃんと会社として目指している世界観を言葉で降ろしておかないと社員を路頭に迷わせてしまうなと考えるようになりました。

目指す世界観はちゃんとあって、それは「幸せになろうね」っていうめちゃくちゃシンプルでアバウトなもの。でも本当にそれが全てで、社員であろうがお客様であろうが仕入先さんであろうが、仕事を通して関わっている人たちの中に一人でも不幸と感じている人がいるのがとにかく嫌なんですよね。自分自身ももちろん幸せでありたいと努力しています。

同時に、幸せの定義をちゃんと言葉にしておかないとダメだなって。「うちの会社ではこの世界が実現できたら、皆はより幸せになれるよね」っていう定義を定めて、同じ感覚をもった人間たちが集まって会社を組織するイメージ。組織論としてはもはや当たり前のことなんですが、起業して7年目、従業員を抱えて4年目になって恥ずかしながらやっとわかってきました。

僕が代表を務める会社は2社あって、そのうち社員を抱えて経営している株式会社motoyuについてお話しすると、今のメンバーはゴリゴリ仕事をして高い給料をもらうよりも、ほどほどの給料で世間一般よりも多く休みがとれた方が幸せを感じる人たちが集まっています。僕もその考えには強い共感を抱いていて、だからこの会社では幸せになるために企業としての成長を望まなくていいんじゃないかって考えるようになりました。毎年の売上アップを追い求めるよりも利益と休暇を追い求める方が合っているなと。僕は成長ではなく成熟を目指す、と言ったりしてます。

この考えを整理する上で参考になった本が2つあるので紹介します。

一つ目は「売上を、減らそう」という本。ランチのみの国産牛ステーキ丼専門店のオーナーさんが書いた本で、100食売り切ったらそれで仕事終了。みんな早く帰るために今日も頑張ろうねって話。飲食店は売れ残りによる食品ロスだったりそれを防ぐために大きな冷凍庫を完備していたりするのですがその経費が経営を圧迫します。佰食屋さんでは1日の販売数を100食に絞り、しかも定番メニューだけで回してそれを売り切るわけなので、食品ロスも大きな冷凍庫も必要なくなるわけです。原価率は当時で50%と書かれていましたが、これ飲食の常識だと結構高くて、その分どんぶり一杯の価値をしっかり高めて販売し、それを売り切ることで毎日安定的な利益と店舗運営を実現しているというスタイルです。

二つ目は「たった4年で100店舗の美容室を作った僕の考え方」という本。僕が一番参考にしている経営戦略家である北原孝彦さんの2冊目の著書で、離職率が高いとされる美容界で離職率3%という驚異的な数字を叩き出しているDEARSの戦略の話。離職率の低さの理由は、徹底して従業員をセレクトして組織にマッチした人材しか採用しないようにしているところにあります。そのためにも待遇面を業界内で超高水準に保って求人に困らない体制にしておく必要があります。それを佰食屋同様に商品力とビジネスモデルで補っているというわけです。

この2社のような好体制をつくるには、①商品力やビジネスモデルを強化し、②利益率の高い商売をし、③その余裕を持って集客と採用に困らない状況をつくること が全てであるというのはよくわかりました。(簡単そうに言いましたがこれがなかなかできないから皆悩んでるんですけどね…)

話は戻りますが、株式会社motoyuが目指す「幸せ」を実現するためには、この3つを追求していく必要があるということです。たまにnoteでも理想郷の話を書いていますが、その実現には不可欠な要素であり、ちゃんと言葉にしてメンバーに伝えていかないといけません。

まず、組織として「目指す幸せ」を定義すること。それは皆が心から納得するものであるならば、崇高なビジョンでなくても全く構わないということ。そして、その実現のために必要なステップを言葉にしてメンバー全員に共有しておくこと。商品力やビジネスモデルを練り上げていくのは経営者である僕の仕事ですが、「ここを目指すために今これをみんなにお願いしてるんだよ!」っていうのを共有しているかどうかって結構違うよねって思っています。

今日はそんな風に意識が変わってきたよっていうお話しでした。走り書きしましたが、読んでいただいた方に伝わっていることを願います。

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