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目的のない料理
料理の目的といえば、一般的に食事をすることであろう。
しかし、私は目的のない料理をすることがしばしばある。
そして、姉の様子をみるに、彼女もまた目的のない料理をする。
私たちは目的のない料理をする姉妹なのだ。
「目的がない」というと語弊があるのだけど、正確にいうと、作ることそれ自体が目的というか。
夕飯のためにつくる、とかではなく、今作りたいから作るというような感じ。
たとえば、姉が休日の昼間にカレーを作っていたとする。
「今夜カレー?」と聞くと、
「いや別になんでもいい」
と答える。カレーを作っているのに、だ。
彼女の目的はカレーを作ることであって、いつ食べるかは重要ではない。
そういうことが、私たち姉妹には往々にある。
昨日の私もそうだった。
夕飯を食べ、お皿を洗い終えたその流れで何故か揚げ物を始めた。
イワシに片栗粉をまぶしてあげ、その油でナスを揚げ、油をとってからピーマンとパプリカ、玉ねぎを炒める。
事前に作っていた南蛮酢にどぼん。
イワシの南蛮漬け。
作ったら満足。冷蔵庫にしまって眠る。
一夜あけ、土曜日。
お昼ご飯どうしようかなーと考えて、そういえば南蛮漬けがあると思い出す。
「ラッキー!」という感じ。
別にラッキーでもなんでもない。自分が作ったわけだから。
南蛮漬けをメインに、これまた姉が謎に朝イチで作っていたささみときゅうりのサラダと、おいもご飯と、それから味噌汁をちょちょっと作って並べれば立派な昼ごはん。
「なんかご馳走になっちゃったね」
「豊かだねぇ」
「豊かだ」
私たちは目的のない料理をする。
だけどその結果、わたしたちの食卓は豊かになる。
ある意味、ご飯のためのご飯より、料理のためのご飯のほうが、豊かかもしれない。
それは、作るために作った料理だから。
そんな姉妹暮らし。
たおやかな日々。
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