見出し画像

読む

長らく読書から遠ざかっていた。

小さい頃は本ばかり読む子どもだった。
徒歩20分の小学校の帰り道を、本を読みながら歩いて帰った。
読みたい本がある時には、それは何よりも優先されるべきことで、本を読んでいる途中に友だちが家に遊びにきても「本読んでるから」と断ったほど。

いつだって本は生活の一部だったんだけど、子どもが生まれてからは読めなくなった。
ページ上の文章をなぞれなくなり、読んでも頭に入ってこない。

そんなことが続いて、めっきり本から遠ざかっていた、ここ数年。

ひたすら現実を歩み進めてきた感じ。


そして現在。
元気な無職となった私は、再び本を開いた。

最初はおっかなびっくり。
まだ読めなかったらどうしよう、と。

だけど不安は杞憂に終わった。

本をひらけばそこは、現実とは離れた世界。
私はまたそこに、入り浸ることができた。


いま、余暇の時間はひたすら本を読んでいる。
原稿の案件の有無に関わらず、昼間はワークすることに決めているため、基本的に読むのは子どもたちが寝たあと。
だけどそれだけでは飽き足らず、子どもたちが早起きした日の早朝や夕食の煮込みの待ち時間、挙げ句の果てには運転中の信号待ちの時間にまで本を開いている。

もし福島で、赤信号で本を読んでいるドライバーがいたらそれは私だろう。


多分、ちゃんと働くようになったら本を読む体力は私には残らない。
また読めなくなる日々が続くと思う。

それまでの間、本が与えてくれる非現実を、目一杯楽しみたい。

この記事が参加している募集

習慣にしていること

沼落ちnote

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?