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藤井風の宗教スキャンダルについて

藤井風とサイババの関係が、とうとう文春やSpaなどのマスコミに掲載された。奇しくも、私が1年ほど前に書いた記事が現実のものとなってしまった。

私が当時恐れていたのは、創始者のサイババ自身が児童への性的虐待やマジックを奇跡と称して見せるペテン師であるという疑いがあるという過去のネガティブなイメージより、日本におけるサイババのコミュニティで多額の寄付金や霊感商法の問題があった場合に、反社会的組織とみなされ、その団体のスローガンを一字一句変更せずアルバムタイトルにもつ藤井風の曲が公に聞けなくなり、企業とのタイアップもできなくなり、そして、彼のご両親までに取材が執拗にいき、藤井風自身がそれに心を痛め、活動の休止を余儀なくされるというものであった。

しかし、2022年のさまざま事件、出来事で、この問題は私が予想していたもの以上に複雑化した。
一つはもちろん、
1.2022年の7月に安倍元首相が統一教会に恨みをもった容疑者に銃殺された事件 だ。
この衝撃的な事件により、新興宗教が寄付金や霊感商法により身ぐるみはがし家族を破壊させる反社会的な存在であることがよりクローズアップされ、かつ、両親による、信仰の押しつけを受けた宗教2世という言葉さえマスコミで取り上げられた。両親がサイババの信仰者である藤井風自身も、宗教2世として語られたり、宗教2世のファンにより運営側に改善を求めるプロジェクトさえたちあがった。

2つめは、
2.『死ぬのがいいわ』が世界各国でバズり、日本だけでなく世界のリスナーの影響も考える必要性が発生した である。
この曲が、偶発的に昨年、日本の曲で一番世界で聞かれた曲となり、そして、Spotifyの月間リスナー数が1000万以上(日本アーティストとしては断トツトップ)となり、藤井風の世界進出をより後押しすることになった。彼のような宗教的なメッセージ性をもつアーティストは、海外のほうが活動しやすくなるだろうという意見もある。しかし、多神教の日本人と違って、海外では信仰を神との契約と考える一神教も多い。サイババの二大スローガンを印刷したグッズを持つことを躊躇うというよりタブーとするファンも、今後もっと増えるということだ。また、海外のほうがサイババのグレーな過去についてよく知られているはずだ。疑惑がある教祖を信仰することについて本人にオブラートに隠さず、メディアでは直接的な質問もされるはずだ。NHKやMUSICAのように、ずっずさんが広報戦略で情報コントロールが十分にできるメディアばかりではなくなるはずだ。

3. 『grace』発表以降、宗教的な演出が濃くなったことで、藤井風のメッセージの背景にリスナーの興味が集中した
『grace』のMVを見て、私は完全に振り切ったと思った。ヒンドゥー教の神の像と手を合わせるシーンやガンジス川で沐浴するシーンは、特別プロジェクトといえども、CMソングのMVとしてNTT DoCoMoがよく許したと思えたほど宗教的内容であった。10月のパナスタのライブに、私は2日目に参加したが、袈裟を思わせる衣装で座禅姿で登場し、『Love All Server All』という旗を掲げた藤井風をみて「愛の国」という新興宗教を創設した教祖そのものだと思った。ライブ自体は楽しんだが、いささか、やりすぎ感を覚えた。藤井風は、宗教家に、もしかしたらサイババの3番目の生まれ変わりであるプレーナ・サイババになろうとしてるのかとまで思った。

この問題がどのように決着するのかわからない。しかし、現在の私の立場は、以下に昨年書いたとおり変わらない。藤井風の本質は、聞き手の心の平安を祈り音楽を届ける姿勢にあると思っている。それが変わらない限り、私は彼の作品を愛し、推し続ける。

しかし、運営サイドには以下の改善点を提示したい。

1.アルバム名『Help Ever Hurt Never』と『Love All Server All』について出典元を提示すること
藤井風のファンであり宗教2世の立場から、20代のお二人が立ち上げたIIYY Projectに私は深く賛同する。

センシティブな問題であるため風くんが自身の信仰を公にする必要はないが(しかし、海外にでたら、これだけ大半の作品が信仰をもとに創作されている限り、メディアにはインタビューされると思うが)、運営側はこのプロジェクトに届いたメッセージを真摯に受け止めて今後の活動に支障がない対応をしてほしい。一刻も早く、広報、宗教、法律、それもグローバル視点でアドバイスができるプロの力をかりて対応するべきだと思う。

ファンの中には、HEHNやLASAはインドの諺で、昔から使用されている証拠を見つけたといっているコメントが散見されたが、1stアルバムだけならそのような言い訳も通じるが、1st , 2ndとも二大スローガンを一字一句変えず、使用していれば、サイババとは関係ないというそんな言い訳は通用しないと考える。
また、湯川れい子氏が、サイババを宗教家ではなく教育者とTwitter言っていたが、私は最近、サイババ関連の本を2冊ほどよんだが、神について多く書いてあり、どこから読んでも宗教の教祖にしか思えなかった。

Universal RecordsやYouTubeなど外資系企業は、問題視していないのであろうか?海外進出を控え、イスラム教徒やらエホバの証人の信者から、訴訟を受けないようにするということなど考えないのであろうか?日本と違い、アメリカのような訴訟大国ではリスクを低減するために、あらゆることを想定し契約書を作成する。この問題を外資大手企業が軽視するとは思えないのだが。

2.教祖を思わせるような演出は控える
パナスタや紅白での袈裟のような衣装を着なくても、彼のステージでのカリスマ性や憑依ぶりは、十分感じられる。素朴な普段着の青年が、ステージに立つと色気全開でパフォーマンスするほうがギャップ萌えするし、ずっと魅力的だと思う。

3.作品の幅をひろげる
シンガーソングライターへのファンの愛は、その大いなるワンパターンに心酔するか否かだ。そういう意味でハイヤーセルフとの対話や、執着からの解放、自己を愛する重要性などのメッセージを極上のメロディーともにポップミュージックに昇華させた藤井風の作品は稀有なもので、だからこそ彼は天才と言われ、多くのリスナーを惹きつける。しかし、自身の上京時の心情を歌った『さよならべいべ』のような等身大の彼の作品がもっとあっていいと思う。藤井風が普通のラブソングは書くことはないと、ラジオで言っていたということは知っているが、私は、彼のオリジナルの恋愛ソングを聞きたいと思っている。

藤井風自身は、今後、自身の音楽を自身のメッセージをリスナーにどのように伝えたいと思っているのだろうか?文春の記事のずっずさんの言葉には、『日本の宗教観はもっとカジュアルであるべきだ、特定の宗教を広げる意図は無い』という藤井風の思いを紹介していたが。

実は、『grace』のMVの監督、QQQが、サイババのオーガナイゼーションに属する人ではないか?と私は、恐れている。多くのファンと同様に、最初はQQQは藤井風自身だと思っていた。しかし、NHKの特番で声のみ出演であった〝監督〟は、藤井風ではなかった。QQQはいったい誰なのか?

年末のNHKの特番には、昨年のLAでCo-Writingしていた時期の映像が流れ、続編を思わせる余韻があった。そこで、QQQの正体が明かされるのであろうか?どちらにしろ、これ以上の混乱が起きないことを心から望んでいる。








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