見出し画像

生き残りの子孫たち

コロナ禍の生活がつづいている。

日本に感染が広がって1年が経つ。長期戦でしんどい。とりあえずマスクをつけて手洗いもしているけど、どう対処したら良いのかわからない部分もある。「感染症の世界的大流行」なんて、今まで生きてきて経験がないから当然だよね。


でも、他の厄災ならどうだろう。


年齢や住む場所によるけれど、私たちは、これまで地震・豪雨などの厄災を経験してきた。とくに記憶に残っているのは、東日本大震災だと思う。東北を中心に関東や北海道でも被害が出た。それに加えて、原発の事故まで起こってしまった。
直接的な被害は受けなくても、テレビの映像を見てかなしい気持ちや自然の理不尽をあじわい、命についてかんがえた人も多いのではないかな。その他にも、胆振東部地震、熊本地震、中越地震、阪神・淡路大震災も忘れられない。


加えて、温暖化で豪雨も増えてきた。
九州を中心に影響が出た昨年の豪雨、西日本豪雨、九州北部豪雨、関東・東北豪雨…。
地震も豪雨も、北から南まで日本のどこででも起こってしまう恐ろしさがある。こう振りかえってみると、いま、無事に過ごせていることが、本当にありがたくなってくる。


「ただでさえ自然災害が多いのに、感染症の大流行まで経験したのって、私たちだけじゃない?」とも、思えてくる。けれど、なにごとにも「先輩」がいる。

約100年前、スペイン風邪がで大流行したときに生きていた、私たちのご先祖さまだ。ECMOエクモ、MRI、CTなんて医療技術は当然ないから、救える命もすくなかっただろう。実際、日本全国で数十万人が亡くなってしまった。そんな過酷なできごと生き残ったと先祖さまやその子どもたちは、さらに厄災に見舞われてしまう。それも人間同士の。

私たちの祖父母や曽祖父母が経験した、太平洋戦争だ。戦時中生まれの86歳の師匠は、「コロナはまだマシです。食べ物はあるし、あたまの上から爆弾がふってきませんから」と言う。もしも、自分がそんな状況に遭ったとしたら生き延びられるのか、とうてい自信はない。それでもご先祖さまは生き残り、いち個人として戦後の復興に尽くし、さらには経済的に豊かと言われるまでになった。


もっともっとさかのぼってみると、応仁の乱から始まる戦国時代。日本で内戦なんて想像もできないし、食べ物も医療も比べようもないほど足りなかった。それでも、ご先祖さまは生き残った。その奇跡のような人生がいくつもつながった結果、いまのコロナ禍を生きる私たちがいる。

そのご先祖さまの頼もしいDNAを、私たち一人ひとりが受け継いでいる。
私たちは、「生き残りの子孫」なのだ。コロナ禍を乗りこえられる資質があるのではないだろうか。


この記事が参加している募集