マガジンのカバー画像

ヨシコンヌフィクションヌ【詩と小説】

17
ヨシコンヌが書くフィクションです。
運営しているクリエイター

#ショートショート

【とある深夜のシンヤたち】-とある深夜の榛原信哉(ハイバラシンヤ)-

傘の下、

昔読んだ国語の読解テストの文章を

ぼんやりと思い出す榛原信哉である。

小さな女の子が森に迷い込んでしまって、

その森の奥には三人のおばあさんの魔女がいて、

透明なビニール袋にいっぱいの、薄いピンクの桜貝を詰めて売っていて、

そのサクサクなる音や色や見た目があまりに愛らしいので、

女の子が手元に持っているお小遣をはたいてそれを買って、

その後すぐにうちに帰る道を見つけて、

もっとみる

【とある深夜のシンヤたち】-とある深夜の向坂晋也(サキサカシンヤ)-

地下鉄の終電の車内で、

マスクをしているオッサンの数を

心中にてカウントするは、

向坂晋也(サキサカシンヤ)、25歳である。

ヴィレッジヴァンガードで手に入れた

黒く大きなヘッドフォンには、

両方の耳あてのど真ん中に白い星があり、

買った頃には「割とかっこよくね?」と思っていたものだが、

今となっては年の割にバカっぽく見える感じだ。

5年ものである。

しかも、い

もっとみる