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2017年5月の記事一覧
【とある深夜のシンヤたち】-とある深夜の榛原信哉(ハイバラシンヤ)-
傘の下、
昔読んだ国語の読解テストの文章を
ぼんやりと思い出す榛原信哉である。
小さな女の子が森に迷い込んでしまって、
その森の奥には三人のおばあさんの魔女がいて、
透明なビニール袋にいっぱいの、薄いピンクの桜貝を詰めて売っていて、
そのサクサクなる音や色や見た目があまりに愛らしいので、
女の子が手元に持っているお小遣をはたいてそれを買って、
その後すぐにうちに帰る道を見つけて、
【とある深夜のシンヤたち】ーとある深夜の谷崎伸哉(タニサキシンヤ)ー
『観音崎高等学校』と
金の箔押しをされた紺色の重厚なアルバムを
しげしげと眺めている
谷崎伸哉である。
頭には白いタオルを巻き、汚いベージュの短パンに黒いタンクトップを着ていて、タンクトップの汗じみがすごい。
狭い部屋の中は押し入れから出した物で溢れ返り、 その真ん中にある、人一人分座れるスペースにて胡座をかき、高校時代のアルバムに見入っている。
ようは、あれだ。
片付けが進まず、捨
【とある深夜のシンヤたち】-とある深夜の中谷信也(ナカタニシンヤ)-
「嘘〜」
「嘘じゃないよ」
「じゃ、あたしの目、見てよ」
「見るよ」
「…あ、今逸らした~」
「逸らしてねぇよ~」
深夜のファミレスだ。
確かに深夜のファミレスだ、と
納得する中谷信也である。
中谷は、背後の席にいるカップルの会話を耳にしながら、iphoneにてメモ画面を開き、『カップル』という単語の前に『バ』と付けて打ってみる。
「天才だな、この単語を考えたヤツ」
中谷の呟きは宙を滑り、
【とある深夜のシンヤたち】ーとある深夜の塩崎慎也(シオザキシンヤ)ー
「何故だ」
最初の問いはそれだ。
「何故、こんなことに…」
芝居がかった口調から、彼の衝撃度合いが把握出来る。
玄関を上がったところに、
見るも無惨な48分の1スケールのガンプラ。
バラバラであった。
三和土でがっくりと膝を付くは、
塩崎慎也27歳である。
帰宅時間は午前一時、風呂に入って寝るだけの予定であった。
黒縁の眼鏡を外して、
スーツの腕でぐっと涙を拭く背中は
さながら戦
【とある深夜のシンヤたち】-とある深夜の向坂晋也(サキサカシンヤ)-
地下鉄の終電の車内で、
マスクをしているオッサンの数を
心中にてカウントするは、
向坂晋也(サキサカシンヤ)、25歳である。
ヴィレッジヴァンガードで手に入れた
黒く大きなヘッドフォンには、
両方の耳あてのど真ん中に白い星があり、
買った頃には「割とかっこよくね?」と思っていたものだが、
今となっては年の割にバカっぽく見える感じだ。
5年ものである。
しかも、い