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やさしさとは何か(3)〜能力の振り分けと相性〜

※前回の記事を未読の方は、ぜひこちらからどうぞ↓

世の中には、単純に「やさしい人」と「やさしくない人」がいるかのように錯覚します。

グラフで表現すると、下のようなイメージを通常は持つと思います。

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・「やさしさ」と言う能力値が高い人は「やさしい人」
・「やさしさ」と言う能力値が低い人は「やさしくない人」

しかし、これはおそらく間違いで、人が持つ「やさしさ」の総量に差はない、と言うのが私の考えです。

前回示した「やさしさ」の4大要素の振り分けが、人によって異なるだけなのです。

「やさしさ」の振り分け

「やさしさ」の4大要素とは、「やさしさ」を構成している、

・感覚 sence
・論理 logic
・損得 profit and loss
・美学 aesthetics

の4つのことでした。

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この4つのそれぞれの高さが人によって異なっているのですが、総量としては変わらないのです。

例えば、総量を20とした場合、

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上の図ように、「感覚」と「損得」に大きく振れている人もいれば、

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上の図ように、「論理」と「美学」に大きく振れている人もいます。

個人個人で「やさしさ」の振り分けが違うので、

・感覚が違う人の思いやりは伝わりにくい
・論理が高い人のやさしさは、論理が低い人には理解されない
・損得が一致しない人のやさしさは、迷惑になる
・美学が合わない人のやさしさは、醜く見える

というようなことが起こり、相性の良し悪しが生まれます。

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上の図のように、2人の重なる面積が狭い場合は、相性が悪くなります。

ですので、お互いに「やさしくない人」だと主観的に評価し合う可能性が高くなります。

逆に、

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上のように、2人の重なる面積が広い場合は、相性がよくなります。

ですので、お互いに「やさしい人」だと主観的に評価し合う可能性が高くなります。

特徴と分類

「やさしさ」の振り分けには、次のような2つの特徴があります。

・感覚と論理(上下)はトレードオフの関係にあり、一方が高いともう一方が低くなります。

・損得と美学(右左)はトレードオフの関係にあり、一方が高いともう一方が低くなります。

そして、「やさしさ」は、先天性と後天性に分類できます。

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先天性

感覚

人は生まれつきの感覚に違いがあるので、感覚は先天性に強く影響されるやさしさです。
 
怪我や病気など、後天的な影響によって感覚が変化することも稀にありますが、しかし基本的には生まれつきの感覚がベースとなるので、先天性の方が色濃く影響するでしょう。

例えば、男性は男性にしか、女性は女性にしか、トランスジェンダーはトランスジェンダーにしかわからない特有の感覚が、それぞれにあります。

損得

顔、体格、ケンカの強さなど、五感を通して印象で判断される損得は先天性に強く影響されるやさしさです。
 
お金や権威など、後天的に獲得される価値観によって損得が変化することもありますが、しかし後付けの知識よりも生理的な印象の方が生物の原始的な欲求に近いので、先天性の方が色濃く影響するでしょう。
 
例えば、若い人たちばかりのグループに一人だけおじさんが混じっていれば、よほど尊敬を集めたりお金を配ったりなどのメリットがなければ、気分の問題で追い出されてしまいます。

後天性

論理

知識や論理的思考力は育った環境によっても特徴が現れるので、論理は後天性に強く影響されるやさしさです。
 
生まれつきの頭の良さ(IQ)など先天的な影響もありますが、しかし生まれてくる時代やコミュニティや身近にいる人々の質によって得られる知識や習慣も異なるので、後天性の方が色濃く影響するでしょう。
 
例えば、医学的知識の遅れていた1600年代のアメリカの片田舎に、都会から引っ越してきた女性が、心肺停止した人を偶然発見し救助活動をしたとしましょう。

救助の様子を見守っている村人には、死人にキスをして、胸を繰り返し押して復活させてしまった女性を、まるで魔術を使ったかのように思い、魔女は本当にいたんだと恐れたことでしょう。

村人の中には生まれつきの知能が都会生まれの女性より高い人もいたかもしれませんが、後天的に得た知識が遅れていたために女性の行動が理解できず、やさしさを感じとることができなかったのです。

美学

博愛や人権や平等などは後天的に獲得される価値観なので、美学は後天性に強く影響されるやさしさです。
 
潔癖さや知的欲求の強さなど、先天的な性格の影響もありますが、しかし生まれてくる時代やコミュニティや身近にいる人々の質によって得られる価値観も異なるので、後天性の方が色濃く影響するでしょう。
 
例えば、クジラが外国の漁船に捕らえられる姿を見て心を痛めながら、カンガルーの肉を食したり、増えすぎたコアラを殺処分する人々もいます。


前半まとめ

さて、ここまで「やさしさとは何か」という疑問の答えについて、私なりの考えを述べてきました。

改めてまとめると、まず、
 
・「やさしさ」とは「やさしい行動をとるための潜在能力
 
です。そして、

・「やさしい行動」とは「相手の望んでいることを想像し、起こされたアクションが、相手に届いた時に、良い感情を引き出しリアクションさせるもの」
 
です。

アクションが相手に届く際には、
 
・五感や価値観などのフィルター
 
を通ることで、おもいやりの変化や増幅や減衰が起こります。
 
五感や価値観は人によって異なりますし、また、やさしさや望んでいることなどの潜在意識も人によって異なるので、人間関係には相性が生まれます。
 
・「やさしさ」に関する潜在意識は、「感覚」「論理」「損得」「美学」の4要素によって構成されています。

この4要素の振り分けが人によって違うので、近いもの同士の相性が良くなり、差があるもの同士の相性は悪くなります。

また「やさしさ」は、先天的な要素と、後天的な要素の影響を受けるので、時代と場所と人によって共通する部分と異なる部分が出てきます。

いかがでしょうか。

今回の内容をふまえて、次回以降は、人の発達傾向ごとの「やさしさ」と相性について考えていきたいと思っています。

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