それって本当に「デジタル化」になってるの?
「デジタル化」のことを「電子化」と同じ意味だと考えている人が多いようです。
「デジタル化」の意味を考えてみようと思います。
結論から
結論から先に言うと、「デジタル化」とは、「人にとって便利なサイズに分割すること」です。
対義語の「アナログ化」は、「人の都合で分割されているものを、境界のない状態に戻すこと」です。
具体例1:虹
例えば、虹は日本では「7色」と言われる事が多いですが、英語圏では「6色」や「3色」の場合もあります。
同時刻に、同じ場所から虹を見ていても、見る人によって色の数は変わります。
適当なところで境界線を引いて、「この辺は赤」「この辺は黄色」と言うふうに、勝手に名前をつける事ができます。
このように、元々は境界があいまいでグラデーションになっているものを、都合よく分割して名前をつける行為を「デジタル化」と言います。
デザイン事務所の職場などの場合は、仕事のために、より詳細なロジックで色分けすることもあります。
その時々で、都合に合わせて、分割方法や名前の付け方を変えることができるのが「デジタル化」というものです。
具体例2:書物
例えば、紙に長文を書いてまとめることにします。
なが〜い紙を持っていれば、なが〜い文章を書くことができます。
文章を書き終わったら、トイレットペーパーのようにクルクルと巻いて持ち運べます。
紙や紐が貴重だった時代の運用方法ですね。
ただ、この運用方法では、読んでる途中で片付けたいときや、途中から読みはじめたい時などに、わざわざ早送りや巻き戻しをしなければならないので不便です。
そこで、時代が進んでもうちょっと紙の供給が増えて、技術が進むと、紙をちょうどいいサイズに裁断して紐や糊などでまとめるようになります。
裁断した紙にページ番号をふっておけば、いつでも途中から開くことができますし、しまう時に毎回巻き戻しをしなくても良くなります。
このように、都合の良いサイズに分割して1つ1つに番号をふって便利にする事を「デジタル化」と言います。
「早送り」や「巻き戻し」という言葉でピンと来た世代の方もいるでしょうが、この流れはカセットテープがディスクになった流れと同じです。
具体例3:電子書籍
例えば、紙にかかれている内容を遠くの人に見せたい場合があります。
紙のままでは、持ち運んではるばる会いに行ったり、わざわざ封筒に入れて切手を貼り、数日かけて郵送したりしなければなりません。
でもスキャナでパソコンなどに取り込んで電子画像にすれば、eメールやチャットなどで素早く簡単に送ることができます。
この時、スキャナやパソコンの内部では、紙の表面の位置情報を全て読み取り、0と1の羅列に変換して保存したり、電気信号として送ったり受け取ったりしています。
このように、紙に書かれた情報を、スキャナやパソコンなどの電子機器が扱える程度の細かい数字に分割することを「デジタル化」と言います。
考察
ここまでの具体例1〜3を見てわかるように、「デジタル化」とは、状況によって多様なバリエーションがあるものです。
全てに共通するのは、その時々で、利用する人にとって便利になるように、都合の良いサイズに分割している点です。
「電子化」とは「デジタル化」のための手段の1つであって、決して「デジタル化=電子化」ではないのです。
よく「私はアナログ人間だから」と言う人と出逢います。
彼らが手帳に書き込む姿を見ると、私の目には奇妙に映ります。
だって、手帳って、巻物よりもデジタル寄りな存在だからです。
ページをペラペラめくる事ができたり、1ページの中に罫線が入っていたり、カレンダーがマスで分割されていたりするのもデジタル化によるものです。
まとめ
なぜこのような記事を書こうと思ったかというと、多くの人が「デジタル化」というものを勘違いしているせいで、世の中が変な方へ向かっているなと感じるからです。
ビジネスのお話とかで、「デジタルを活用する」みたいな文言が出てくるとモヤっとします。
マイナンバーカードって、「電子化」ではありますが、本当に「デジタル化」になっているんですか?
なんか、パスワードをいっぱい考えて覚えておかなければいけないらしい。
なんか、国民健康保険証なら無くしてもすぐ再発行できるのに、マイナンバーカードだと数十日待たなければいけないらしい。
不便になっているなら、それは「デジタル化」ではないのでは?と思っています。
「電子化を推進する」のがデジタル庁の役目?みたいな、偉い人たちは、そんなふうに思っているんじゃないだろうかと、そんなふうに疑っています。
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