大人のアトピーは、心筋梗塞に注意しよう

◆アレルギーマーチとは

「マーチ」とは行進という意味で楽しそうですが、
医学で「マーチ」というと、決して楽しくありません。

「アレルギーマーチ」という言葉を聞いたことがありますか。
「乳児のアトピー性皮膚炎」を引き金に「食物アレルギー」が起こります。
数か月後「喘息」を合併し、数年後には「アレルギー性鼻炎」を発症します。

「アトピー性皮膚炎」→「食物アレルギー」→「喘息」→「アレルギー性鼻炎」
アレルギーの病気が行進するように出てくるため
「アレルギーマーチ」と言われています。

◆アトピーマーチとは

「アレルギーマーチ」は子供の病気ですが、
「アトピーマーチ」は大人の「マーチ」です。

アトピー性皮膚炎は、子供の病気と思われていました。
近年、大人になっても治らない、または、大人になって発症するアトピー性皮膚炎が増えてきたように思います。

大人のアトピー性皮膚炎を放置していると、
「動脈硬化」→「心筋梗塞」という「アトピーマーチ」が引き起ることがあります。
なぜ、そうなるのでしょうか。

◆皮膚炎は放置しない

「アトピー性皮膚炎」は、「炎」の字が使われていますように、
「炎症」を起こす皮膚病です。
炎症とは、熱くなって燃えているようなものです。

分厚いステーキをフライパンで焼いたらどうなるでしょうか。
最初は、肉の表面が焼けますが、徐々に熱が肉の中にまで伝わり、
「レア」→「ミディアム」→「ウェルダン」になります。

皮膚炎を放置していると、心臓の血管に波及し、
動脈の弾力性がなくなり、もろくなります。（動脈硬化）
そして、血管が詰まります。（心筋梗塞）

アトピー性皮膚炎は、ひどくなると皮膚だけで済まなくなります。
ぬり薬、飲み薬、注射、食事など、あらゆる手段を用いて、
皮膚炎を抑え込みましょう。

参考文献
山中恵一：「アトピー性皮膚炎の根治と合併症を考える ~複雑な局所の炎症をどう抑制するか」,皮膚アレルギーフロンティア 19(1): 7-10, 2021