データサイエンティストの転職市場動向と今後の展望 2024
はじめに
ハナヒラクの粟飯原です。私の自己紹介はこちらの記事をご覧ください。
親会社であるアポロで、データ・AI人材に特化した人材紹介事業を行っています。
私が様々な企業さんや候補者さんとお話したり、紹介をしてきたりする中で感じてきた、データサイエンティストの現在の転職市場の市況感をまとめました。
私自身もデータサイエンティストとして6年間働いてきて、いろんな企業の方、職種の方、データ人材の方とお話してきているので、そういった視点も込みで書きました。
※個人的な主観で書いている点も多々ありますので、その旨ご了承ください。
データサイエンティストの市場トレンド
データサイエンティストの需要が急速に高まっている今、その存在感はかつてないほど重要となっています。特に、企業がDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する中で、この専門職の価値はさらに高まっています。最近のハローワークの統計では、データサイエンティストの有効求人倍率が2.77に達していることが明らかになりました。これは、求職者1人に対して、2.77件の求人が存在することを意味し、企業側の採用競争が激化していることを示しています。このような状況は、企業が優秀なデータサイエンティストを確保するのに苦労していることを物語っています。
参考URL:データサイエンティストのハローワーク求人統計データの有効求人倍率
さらに、経済産業省が2019年に発表した調査によれば、AI関連の需要が現状のペースで伸び続けた場合、2030年には最大14.5万人ものAI人材が不足すると予測されています。今後もこの傾向が続くことが予想され、データサイエンティストの市場はますます活況を呈していくでしょう。
参考URL :経済産業省「IT人材需給に関する調査 – 調査報告書」
データサイエンス人材は、エンジニア系かビジネス系かを横軸、機械学習の利用有無を縦軸にとり、その軸から以下の4つの職種に分けることができます。
私も企業の特徴を把握したり、候補者さんの特徴を把握したりするときには、4つのうちのどのあたりにプロットするかを考えるようにしています。
中にはビジネス、データサイエンス、エンジニアリングの3つのスキルを幅広く持っている方もいらっしゃいますが、企業としてはどこに強みがある人材が欲しいのか、個人としてはどの専門性に自分は強みを持っているのかを考えることが重要になります。
また、データアナリストよりではありますが、ビジネススキルを活かしてAI・データを用いてどのようなことができるのかを考えるAI企画・推進のような仕事も存在しています。
企業が求める人材トレンド
企業を、事業会社の「大企業」「メガベンチャー」「スタートアップ」、受託企業の「コンサルティング会社」「データ分析受託企業」の5つに分けて求める人材像をまとめました。
大企業
大企業において、DXやAI人材の内製化が進みつつあり、これによりコスト削減と業務のスピードアップが期待されています。この流れを受けて、AIを活用した新しいビジネス機会の創出や、AIスキルを持った組織の立ち上げ・推進を担うポジションの求人が増加しています。さらに、営業やマーケティングといった事業部のメンバーにもデータ活用能力を高める取り組みが進んでおり、データを駆使した事業部運営が求められるケースが増えてきています。一方で、データサイエンスやエンジニアリングのスキルを学びながら成長していきたいと考える方は、企業が求める役割と自身の成長目標との間にギャップがないか、事前にしっかりと確認することが重要です。
メガベンチャー
メガベンチャー企業では、既にデータ基盤の整備が完了しており、それを基にデータの分析・活用、さらにはプロダクトへの組み込みが進められています。特に、人材マッチングをビジネスの中心に据えている企業では、AIによるマッチング精度の向上が直接的に収益に結びつくため、データ活用の進展が顕著です。データサイエンティスト、機械学習エンジニア、データアナリスト、データエンジニアといった職種のニーズが高く、幅広い役職での募集があります。特に、機械学習を実際にプロダクトにデプロイし、運用・改善を行うポジションの重要性が他の企業群に比べて高い傾向があります。
スタートアップ
スタートアップでは、プロダクトが成長フェーズに入ると、ログデータを活用・推進するポジションの需要が高まります。そのため、大企業のようなAIの企画・推進力と、メガベンチャーのようなエンジニアリングスキルの両方を経験する機会が得られます。他のエンジニアやビジネス側のメンバーと連携しながら業務を進める中で、ビジネスの成果に直結するような幅広い役割を自発的に担える人材が求められています。
コンサルティング会社
コンサルティング会社では、多くの大企業をクライアントとして抱えており、AIの企画・推進およびデータ分析ができる人材が求められています。特に、シニアコンサルタントからマネージャー層のポジションが多く募集されています。また、アナリストやスタッフ層においては、新卒で大学からの経験を積んだ人材の採用が増加傾向にあります。
データ分析受託会社
どの役職・職種の方も募集していますが、教育制度が整っている企業も多いため、未経験や経験が浅い方でも入りやすいのが特徴です。企業にもよりますが、データアナリスト、データエンジニア系の案件が多い傾向にあり、データサイエンスの基礎をしっかりと学んで成長していきたい方にはおすすめです。
求職者のニーズトレンド
近年、事業会社に転職を希望する人が増えている傾向が見られます。これは、大企業やベンチャー企業を問わず、多くの求職者が自分で事業を推進したり、組織を作り上げたり、プロダクトに直接関与することに魅力を感じているためです。特に受託企業での経験を持つ人たちは、より主体的に事業に取り組みたいという思いから、事業会社への転職を志向するケースが増えています。
さらに、近年ではコンサルティング会社と同等の年収を提供する事業会社が増加しており、年収を維持しながら自分のやりたい分野で活躍できることに魅力を感じる人も多いです。企業側もミドルマネージャー層の人材を強く求めており、年収が800~1500万円のレンジで働いていて、データを用いてビジネスに貢献できる人材は、どの企業からも高く評価されています。
また、営業やマーケティングといった事業部でデータ分析のスキルを身に着け、よりスキルを磨くために、自社内の専門部署に異動したり、受託会社に転職したりするケースも増えています。また、データアナリストがビジネスとエンジニアリングの橋渡し役を担うことが多いため、データサイエンティストや機械学習エンジニアといった職種から、プロダクトマネージャーや事業企画といったビジネスに近いポジションに転換するケースも増加傾向にあります。
一方で、AIや機械学習に関する深い知識とエンジニアリングスキルは、転職市場で非常に重要視されています。生成AIの発展を背景に、MLOpsやLLMOpsなどのAI運用・改善に関するスキルを持った人材が市場にはまだ少ないことから、今後これらの専門性を持つ人材は一層重宝されるでしょう。
最後に、フリーランスから正社員に戻る動きも増えています。データサイエンティストは、企業の機密データを扱うことが多く、正社員の方が責任を持って取り組める案件が多いです。最近のトレンドに合わせた新しい技術を学びつつ、より裁量権を持って仕事に取り組むために、正社員に戻ることを選ぶ人が増えてきています。
まとめ
データサイエンティストの転職市場は活発で、候補者数 < 企業数になっている
特に、年収800~1500万円程度のミドルマネージャー層で特にビジネス × データに強みを持った人材に対する企業のニーズが非常に大きい
生成AIの発展に伴い、周辺業務のスキルアップを継続的に行うことが重要。AIの開発・運用をできるスキルを持っている方は今後より重宝されるようになる
親会社であるアポロではデータ・AI人材に特化した正社員・業務委託の紹介サービスを実施しています。私も含め、現役のデータサイエンティストが面談を行うため、皆様のキャリアのお悩みに寄り添い、精度高くぴったりの企業様を紹介させていただきます。業務でのお悩みや、キャリアアップ/転換についても、お気軽にご相談ください。
また、データ人材と、企業の優秀なエンジニアの方がフランクにお話することができるミートアップイベントも定期的に開催しています。
第1回は2024/08/22(木)に開催予定です。まだ転職を検討していないが、なんかもやもやしてるなあという方にこそ、ぜひ参加いただきたいです!
さいごに
ハナヒラクでは、事業の立ち上げメンバー(特にエンジニア)を募集しています。
この状況を楽しんで、私たちと一緒にプロダクト開発に取り組んでくれる仲間を心待ちにしています!
もし興味を持ってくださった方がいらっしゃれば、カジュアルにお話しましょう。
ハナヒラクの募集要項はこちら。現在はエンジニアのみですが、気になる方はカジュアル面談などでいつでも応募ください!
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