スランプに抱かれていた字書きの話⑤
【前回のあらすじ】
テンションの乱高下が激しく、スランプに馬鹿にされる。
【2020年夏、スランプとの対話】七月に入り、私は個人誌の原稿に取り掛かった。そうして、短編をまとめた本とは別で出す予定だったもう一冊をあっさりと諦め、黙々と短編だけ書く日々を過ごしていた。
短編は五十音の「あ」から「ん」までの一文字で始まるものを四十六本だ。書いたものは全てツイッター上に掲載し、本はそこに書き下ろしを十本追加することにした。つまり、合計五十六本である。
「全然終わらない……」
一月か